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絵に夢中(その3) [藝術]

今の子たちはどうだが知らないが、私が子供の頃、
女の子たちはみんな、少女漫画の一頁をまねたような、
いたずら描きに夢中だった。少女漫画には、頁のところどころに、
ストーリーとは関係なく、主人公が素敵な洋服を着てポーズを
とっている、という絵が登場し、それを見るのもまた大きな
楽しみだった。そしてよくその絵を真似して、いたずら描きしたのである。

私は、テストの最中でさえ、ざっと問題を解くと、テスト用紙の裏に
描いてしまう。もうビョーキのようなもので、よく先生や
親に叱られたのだが、なかなかやめられなかった。

私たちはそれをスタイル画と呼んでいた。私はまず、
女の子の顔を丁寧に描き込む。だが、手足がうまく描けない。
それで手は背中の後ろ側に回していることにし、あとは
かかとまである長いドレスを着せるのである。ドレスには、
レースや刺繍やフリルを描き込むので、長いほど便利(?)だった。

小学校三年の時に同級だったともみさんは、絵がうまくて、
皆に頼まれてスタイル画を描いていた。彼女は内藤ルネばりの
おしゃれな絵を描く人で、残念ながら五年生の終わりに転校して
行ってしまったのだが、クラスのみんなの似顔絵を描いて
送ってくれたことを覚えている。彼女はきちんと手足も
描ける人だった。私はどうして描けなかったのか、どうすれば
描けるようになっていたのか、もっと突き詰めるべきだった(続く)。
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