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ナチスの映画二本 [映画]

最近、WOWOWで放映されていた作品。
偶然、続けて二本、ナチスにまつわる映画を鑑賞することに。
一本は「マリアンヌ」と題されたスパイもの。

イギリスの諜報員マックスは、カサブランカ駐在のドイツ大使暗殺を命じられる。
カサブランカでは、フランスの工作員マリアンヌと夫婦を装って、暗殺計画を
決行する、という指示が出ていた。カサブランカで初対面した二人は、
無事暗殺をやり終え、やがて恋に落ちる・・・。だが、実は・・・。
マリアンヌは、ドイツ側から潜入しているスパイだったのである。
と、まあ、ありそうな展開ではあったけれど。そつなくよくできた
映画でした。マックス役のブラピも、よかったし。

もう一本の方は、物凄くユニークな映画で、もう、すっかり心奪われ、
見入ってしまった。なんとこれは、事実から触発されて生まれた映画だと
言うことにも驚嘆させられた。
題は「ペルシアン・レッスン」つまり、ペルシア語の学習。
主人公はユダヤ人の青年で、ナチスに連行され、危うく銃殺されそうに
なるが、偶然持っていたペルシャ語の本をかざし、「自分はぺルシャ人だ」
と申し出て、何とか助かる。とはいえ、ナチス側は、虚偽の申し立てをして
ながらえようとしている、と疑っていて・・・。

連行された収容所には、ペルシャ語習得を志す将校がいたため、
彼はにわかに教師として抜擢されることになる。ペルシア語のイロハも知らない
彼は、でたらめな言葉を次々に繰り出して、生き延びようとするのだ。

こんなことが続くはずがない。焦った彼が編み出した「でたらめペルシャ語」
の組み立て方、がものすごく面白い。彼は、収容所のユダヤ人の名前の一部を、
ひとつずつ、単語として当てはめていく、と言う方法を編み出すのである。
最後が感動的である。多くの人に見てほしい映画でした。

それにしても、私は何本、ナチス関連の映画を観たことだろう。
これだけ観て、あまり当たりはずれがないことにも驚く。
これからも、ナチスの映画は作られ続けるのではないだろうか。
二十世紀で最も酸鼻な出来事の一つだろうに・・・。
人間の底知れぬ残酷さが、また、さまざまな想像を呼び込む、ということか。
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鈍感柴 [生活]

毎朝、三十分くらいの時間、散歩している。暑かった夏には
五時代に起きて、六時前後には出かけていたが、涼しくなってからは
少し出かける時間も遅くなったが・・。相変わらず、お散歩中の犬に
出会い、特に我が家近辺では、柴犬率が高い。昨日は、二匹の柴犬を
連れた男性に出会った。自分も柴犬を飼っていた時期があり、つい
見てしまう。すると犬の方も視線を合わせてくる。面白い。

柴犬のなかには、飼い主が帰宅すると、待ちかねたように飛んできて、
大喜びでお迎えをする愛らしい犬も多いらしい。そんな犬の様子がネットに
上がっていたりすると、つい見てしまう。そして自分が飼っていた犬との
違いをしみじみと感じるのである。我家の柴犬(名はテツ)はかなり
鈍感な犬だった。まあ、飼い主(男の方)に似たのかも知れませぬ。

庭で放し飼いをしていたので、特に暑い日などは玄関わきの日陰に
いるので、私が出先から帰ってきたとき、すぐに顔を合わせることになるが。

すぐには私を認知しないことが多い。とはいえ、「あれ、誰だったかな?」と
言いたげに、こちらに目を合わせ、しばらく考え込んでいる様子。
それで、こちらも何も言わずに目を合わせる。テツは、おしっぽを少しずつ
揺らしながら、依然として記憶を探っている様子なのが可笑しい。
「わかっている、わかっているんだ、この人は、ええっと、言うなよ、
俺が当ててやるんだから、言うなよ、言うなよ・・・」と呟くように、
少しずつ、少しずつ、おしっぽを揺らし続け、そして、急に
扇風機のようにブルンブルンと震わせる。わかった、思い出したぞ! 

DSC09393.JPG

その後の反応が凄い。「キャウ~ン、キャウ~ン」と歓喜の声を
あげるのである。それで、こちらも飛びついていって、撫でまわす。
はたで見ていたら、いったい何日ぶりの再会なんだ、と思われそう。
せいぜい、半日のお留守番なのに。大げさなやつ。そして、飛び切りの鈍感!
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魚肉ソーセージ [食文化]

学齢前、我が家にまだテレビが入っていなかった頃、ラジオから
こんなコマーシャルソングが流れていたことを覚えている。

 パパのお土産 ソーセージ あけてうれしい ソーセージ

ソーセージといえば、今は、豚などの挽肉にスパイスを加え、
腸詰にして作られる肉製品を思い浮かべる人がほとんどだろう。
でも、CMソングはこんな風に続く。

 うちじゅうそろって 晩御飯 猫も坊やもニコニコ にゃお

そう、猫も喜ぶ、魚肉ソーセージの方が一般的だったのだ。安くタンパク質が
摂取できる、庶民の味方である。でも私には、悲しい記憶がある食べ物だ。

小学校一年生の晩秋。11月の末の木曜日だったことを覚えている。
その日は、突然給食がお休みになり、母が慌ててお弁当を作ってくれた。
家にある魚肉ソーセージと野菜を炒めて。私にはこのソーセージ、
結構お気に入りの食べ物だった。当時の子供は大半そうだっただろう。

ところが、その日はなぜか、お弁当箱から漏れてくるこのソーセージの匂いが
気になった。気にし始めると、胃の当たりがむかむかするようだった。
それから気がついたのだが、身体がやけに重い。授業が始まっても、
まっすぐ椅子に腰かけていられないくらい。机の蓋を開けるたび、そこに
収めてあるお弁当に匂いがする。炒めたソーセージの匂いである。
嗅ぐたびに気持ちが悪くなって、ほとんど胃の中のものを戻しそうだった。

二時間目が始まって間もなくだったと思う。担任の先生、私の大好きな
倭子先生が、急に私の方をじっと見て、こういったのである。
「史さん、今日はもう、お家へ帰りなさい」
びっくりし、でもとても有難い提案だった。私はすぐにそそくさと帰宅した。

母は私の顔を見た途端、病院へ連れて行ってくれた。
七歳にして、私の血圧は160近くもあり、腎炎と判断された。
私はそれから二カ月、塩分を断って、安静に過ごすことを命じられたのだ。
学校と言う場所は苦痛でしかなかった私にとって、ほとんど小躍りしたく
なるようなできごとだった。毎日、図書館から借りてもらった本を読み、
読み疲れると、ぼんやりと空想に耽って過ごして、私は少しも退屈ではなかった。
でも、二カ月も塩分を断って寝転がっているということは、身体の成長にとり、
大きなマイナスだった、と今にして思う。今なら異なる治療法を取ったはずである。

先日、相棒が出かけたついでに魚肉ソーセージを買ってきた。
朝、一人で食べている。「美味しい?」と訊くと
「別に。ちょっと食べてみるのもいいかな、と思って」
子供の頃に食べたことが懐かしくて、食べたくなったらしい。
私だって、この食べ物にはいろいろ思い出がある、嫌な思い出ばかりではなく。
でも、なぜか買えない。これからも、きっと買わない。
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やったね ロッテ・続 [スポーツ]

一昨日夜のCSファーストステージの三戦目は劇的な展開となった。
九回まで、双方の投手が好投し、スコアはずっと零行進できていた。
延長十回の表、周東選手のヒットを契機に、ソフトバンクが三点先取。

ここへきて三点の差は、途方もなく大きい。ロッテにとっての勝利はもう、
遠い海のかなたあたりへ、ぶっ飛んで行った、ように思えた。きっと
みんなそうだったのではないだろうか。一緒に見ていた相棒が
「もう、駄目だ。見るのやめよう」と言い出し、私も「仕方ないな」と
同意。国際ニュースを見始めたのだが・・・。それから十五分くらい
経っただろうか。「もう、終っているな」と呟きながら、スマホを見ると。

え、あれ、3対3? まてよ、よく見ないと・・。というのも、つい最近、
スコアの点数を見たつもりで、その右横に表示されているヒット数の方を
見てしまって、「あ、逆転してる!」なんて歓喜の声をあげてしまったことが
あったのである。こういうことは、かつては「そそっかしいな」で済んだが、
今は「認知症だ。ボケが進行している」と、一分半くらいはたっぷり罵られる、
ということになるので、重々、注意が必要なのである。

「あ、間違いない! ロッテが追いついている!」
「えっ! 本当!? それほど時間たってないのに。誰か本塁打うったな」

チャンネルを合わせると、なんとなんと、安田がヒットを打って、岡が
本塁に突っ込んでいる場面でした。狂喜乱舞するロッテベンチ、ソフトバンクは
みんな唖然とした表情で・・・。すると藤本監督がビデオ検証を求め・・・。

悲鳴と狂喜とが渦巻く球場。岡が本塁に滑り込む場面が写し出され・・・。
なるほど、クロスプレーだが。いや、岡の手が、捕手のタッチより早く
本塁に触れているように見えるが。そして、そして、審判の判断も、セーフ!

劇的なさよなら勝利となりました! 凄いよ、ロッテ。セカンドステージは、
投手のやりくりが苦しくて、大変だろうけれど、でもこの勢いで楽しく
闘ってほしい。
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ユーモアについて [言葉]

さりげないユーモアは、人間関係を円滑にするし、何といっても
発話者の余裕が感じられて、すてきなものだ。私がお勤めしていた時代、
異動期に歓送迎会が開かれていて、参加するのが気が重い時が
あった。円満退職者や、栄転のひとの歓送迎は良いとして、中には
やむを得ない退職や、降格的な人事による配転もあったから。
期待していた配転ができず、据え置きになってしまったAさんが、宴会の席で
「いや~、どうもねえ、名簿のちょうど見開きの真ん中あたりに、僕の
名前が載ってしまっているようで、担当者の目につきにくいんでしょうね」
と、さらりと言って、場を和ませていたことを覚えている。

映画の題は忘れてしまったが、確かフランス映画だったと記憶する。
妻が余命宣告された老夫婦が主人公で、夫が介護しつつ二人暮しを
続けているという、かなりシリアスな内容だった。
夫婦にはイギリス人と結婚した娘がいて、今は英国住まいなのだが、
両親を心配して、二人で帰国する、と連絡が入る、その時の夫婦の会話。
「今はあの、イギリス人特有のユーモアに耐えられる状態ではない」
「私も。帰国は断りましょう」

ああ、フランス人もそうなんだな、と深く納得したことだった。
イギリス人のユーモア、と言うのは時に、その域を超えている、と
感じられることが結構多いから。日本人が真面目過ぎるから?
と、言う訳でもなさそうだ、と気づいたのだ。たとえば、
英国には、こんななぞなぞがあるんだけれど・・・。

 How do you fit a hundred babies in a telephone booth?
 電話ボックスに百人の赤子をぴったりと入れるには、どうすればいいか。

答えは何と、
Mince them.

切り刻めばよい。 ちょっとびっくりですよね。このなぞなぞは、
中村保男『英語なぞなぞ集』(岩波ジュニア新書)にも載っていて、
やはり子供の間で、遊びに使われるなぞなぞらしい、とわかる。

ずっと以前、読んでいた翻訳関係の雑誌で、イギリス人のユーモアについての
特集を読んだことがあるのだが、その中で、障害があって四肢が動かせず、
遊びに参加できない子どもに対し、
「君はボールの役目をしてくれればいい、僕らが(蹴って)転がすから」
と呼びかけ、遊びに誘った、という例が紹介されていた。む~、これって。
ユーモアなんだろうか、と、頭を抱えたことだった。
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やったね、ロッテ [スポーツ]

この二、三日は、とても落ち着かない日々だった。
パリーグの、CS進出チームが決まらないからである。
オリックスがダントツの成績で、早々とペナントレースの優勝を決めていたが。
2位と3位が決まらない。ソフトバンク、ロッテ、楽天の三チームが、三つ巴の
闘いを繰り広げ、結局は最終戦へともつれ込んだ。ソフトバンクは何とか、
CS進出を決めたが、自身の最終戦で、二位を決められなかったのだ。

パリーグの、最終戦は楽天対ロッテ。ロッテが勝てば、ソフトバンクを押しのけ、
二位でCS進出、引き分けなら、三位進出。楽天に負ければ、四位に転落し、
楽天が三位でCS進出、というややこしさ。

雨で九日の予定が順延し、10日も決行できるのか怪しいお天気だったが。
小雨の降る中、試合は始まった。平日にも拘らず、スタンドは溢れるばかり、
超満員の観客を迎えて。私は、6時にはチャンネルを合わせたけれど、
見たいような、見たくないような。この二カ月ほどの間の、楽天の勢いを
知っていたから。きっと、CS進出は、楽天だろう、九割楽天だ、と
相棒と話していた。私は実は、ここ二十年程、ロッテファンなのである。

雨で遅れて始まった一回の表。案の定、ロッテの選手たちは固くなっていて。
たった3球で、ツーアウト。もう、見てられない。
「録画しておいた映画で、まだ見てないの、あったよね。そっち観ようか」
と、相棒に訊いてみると、
「え、せっかくだから、野球の続き、見たら? どっちが勝つにせよ、
どっちも凄く頑張って、ここまで来たんだよ」
と、相棒が言う。そうだ、そうなんだった。貧打のロッテが、長く
二位を保ってきていたのも奇跡なら、前半、不調に苦しみ、最下位近くに
沈んでいた楽天が、ここまで盛り返してきたのも奇跡なんだから。
そう考えたら、純粋に野球を楽しもう、という気持ちになれた。

一回の裏、楽天は一死満塁の好機。大量得点で、早々と試合が決してしまうのか。
ところが、なんとぎりぎりで併殺に仕留める。すると、不思議なもので、二回表、
ロッテは、もう、幸運としか思えないような(エラーにこそならなかったが、
三塁手の凡プレーと、いわゆるテキサスヒットで)難なく、一点先取!
さらに四回、安田の、どう見ても、ファールにしかならないはずの当たりが、
ポールに当たる、という珍事(?)で、二点目ももぎ取ってしまい。
結果的には五対ゼロで、CSへの二位進出を決めてしまった!

勝敗、というものは、まさに時の運なのだった。

ロッテのような、低予算のままに置かれている弱小チームが、
CSに進出できる。これは、なかなか芸術的な出来事だ。

大量にお金を注ぎ込み、海の向こうの有名選手を呼び込み、あるいは日本の
他球団から優秀な選手を奪い取り、ときには単に他球団で活躍させないために
飼い殺しするようなことまでして、勝てないチームが確かにあるから。

良かったね、ロッテ。CSではのびのびと、楽しんで戦ってほしい。
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ヨネヤマママコさん [藝術]

先月下旬、ヨネヤマママコ氏の訃報を新聞で読んだ。
この名前、とても懐かしくて、しばらく回想に浸った。
私が小学校二年生の時だから、もう六十年余りも前のことになる。
NHKで、彼女が主演する番組が始まり、私はたちまち夢中になった。
月曜日の夕方だったと思う。それで私は、番組名を「月曜日のパック」と
覚えていたのだが、訃報によると、正しくは「わたしはパック」らしい。

薄暗い空間に、一人ライトを浴びて、パックは現れる。顔には
真っ白い白粉を塗り、やはり真っ白いパジャマのような服を着ている。
そして、身振りだけで、何かとても不思議な世界を描き始めるのだ。
その動きはしなやかで、ときにすばやく、時にうっとりするほど優雅。

空中に何か見えないものを探り出し、そっと渡されるときのときめき。
それは蝶のようなもの、開き始めた花のようなもの、遠い場所への憧れ。

すっかり魅入られて、夢中で見たのは、だが、二週ほどである。
さあようやくパックの日が来た、とテレビをつけた途端、そばにいた
四歳の妹がわめき始めたのだ。
「ハックル、ハックル見る~」とか言い出して。どうもその時の裏番組が
人気の出始めた「珍犬ハックル」というアニメらしい。妹はどこからか
その評判を聞きつけて来て、チャンネルを変えようとするのだ。
私は一週間じっと待っていた大好きな番組を取られたくなくて、妹を
テレビの前から除けようとした。妹はぐわ~んと声を上げて泣き出す。

すると台所から母が出て来た。すごい剣幕である。
「あんたが見ている、その気味の悪いの、何!」
パックのことを言っているらしい。母は普段はNHKを偏重する傾向があり
NHKというだけで、視聴を許してくれることもあった。そんな母が民放の漫画に
肩入れしようとすることに、愕然とした。それ以上に、あの素敵なパントマイムを
そんなふうに貶められたことが、私には限りない衝撃だった。
私はそれ以来、大好きだった番組をあきらめらせられることになってしまったのだ。

だが、声には出さず、身体だけで表現する行為に、私はずっと惹かれてきた。
パックは見られなくなったが、私はその後、バレエ漫画に夢中になり、
図書館でバレエに関する物語などを見つけては読んでいた。

私が初めての翻訳書として刊行した書も『はだしのバレリーナ』(ポプラ社)。
イサドラ・ダンカン、ミハイル・フォーキン、アンナ・パブロア、
マーゴット・フォンティーンら、バレエに貢献した人たちの、少年・少女時代を
中心にした伝記である。訳しているときは本当に楽しかった。
身体の動きによる表現のすばらしさを、映像で見せてくれた最初の
人が、私にとってはヨネヤマママコさんだったのでは、と思うのである。
ご冥福をお祈りします。
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コウガイビル [生活]

今年の夏は猛暑続きで、庭の手入れもほとんどできずじまいだったが。
七月に一度、少々涼しさを感じる日があったので、この時に、
南側の庭(っていったって、通路程度の面積しかないのだが)の
除草をしたことがあった。庭石を除けると、ああ、なんて気持ち悪い。
と言いながら、写真まで撮ってしまいました。

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この生き物を初めて見たのは、二年位前。その時は、本当にぎょっとして、
撮影するほどの余裕もなく、草むしりに使っている小型の鎌の先に引っ掻けて、
庭の端に放り投げたのでしたが・・・。乾燥に弱いらしく、あっという間に
干からびてしまいました。あとで、ネットで調べてみると、コウガイビル、
という生きものらしい。不気味な外見をしているが、無害、とあり、それなら
放って置けばよかった、と後悔したのですが。

今回、改めて詳しく調べてみると、この生きもの生態、なかなか興味深い。
中国南部を原産地とする外来生物で、1960年頃に初めて東京で発見されたという。
コウガイビルとは、頭部が、日本の古い道具である「笄」(髪をかき上げるための
小さな棒)の先端に似ているから、らしい。この写真の中央部に、その頭部が写っている
のだが、滑らかな三角形をしていて、これが名称の由来になっている。

コウガイビルの生態だが、まず、体外消化、を行うという点にびっくり。
肉食で、主にミミズなどを食べるというが、口器から喉を伸ばして、獲物に
付着させて消化するのだとか(なんか、妖怪みたい、ぞ~っとする)。

さらに不気味なのが、切り離すとその切片から、複数の個体が生まれる、という点。
これもまた、シュールなところだが、他にも! 他種類の動物の体内に移動し、
一定期間、そこで寄生しながら生きることができるんだとか。偽寄生虫、と
いうのだそうだ。う~mm。確かにすごい生き物だ。でも、あまり身近にいて
欲しくないですよね。ミミズが多い、我が家の庭は格好の住処になっているのか。
害のない生き物となら、できるだけ共存したい、そう思ってはいるのだけれど。
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かからん団子 [食文化]

遠い南の島に住む短歌の友人から、お菓子をお送り頂きました!
五年前に刊行した拙著『郷土菓子のうた』の在庫があったので、
お送りしたんだけれど、そのお礼だそうで、ちょっと恐縮しながら、
でも、遠い南西の島から贈られたことがとても嬉しくて。

そのお菓子は、かからん団子でした。私は、十年くらい前のGWに
訪れた鹿児島市内で、確かにこのお菓子を購入し、食べたはずなんだが。
当時は月桃を使うお菓子に興味が偏っていて、かからん団子の方は、
ちょっと軽視していたのだった(反省)。

かからん団子の名の由来は、かから(サルトリイバラ)の葉を使うから。
柏餅と同様、五月の節句の餅菓子で、柏の葉のかわりにかからの葉で
包んである。餅にヨモギの葉がたっぷり入っていて、特に、
Yさんの住む島のかからん団子は、これでもか、これでもか、って
いうほど、ヨモギを沢山いれるのが特徴みたいで・・・。

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冷凍で送られてきたかからん団子は、自然解凍した後、ホイルで
くるみ、オーブンで軽く温めてから頂きました。包みを開く前から
ヨモギの薫りがわーっと漂って、食欲を刺激します。
お餅はとても柔らかい。ほどよい甘さも舌に快く、美味でした!

小豆餡が入っているのかな、と思ったがないようである。お餅に
甘味付けしてあるように思える。もうあまりにも沢山ヨモギが
入ってて、全体が黒いほどで、餡が入っていたとしても見分けがつかず。
サルトリイバラの薫りもあるらしいが、こちらもよくわからない、
ヨモギの薫りが強すぎて(笑)。

サルトリイバラは、若葉の頃はおひたしなどで食用されるらしい。
根茎は、薬用に用いられる、とネットで知った。かからの葉を利用した
餅菓子は、南西諸島のみならず、和歌山県とか、四国などにもあるという。
日本は国土は狭いが、南北に細長く、地方の文化が多様で豊かなんだよなあ、
とあらためて思う。


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南の島の不思議な話・続 [旅]

ジャワ島の土木遺跡を訪ねる旅で、ガイドの青年から、
「小さな子供が亡くなると、樹木の洞に葬る」部族がある、と
聞いて、ずっと心に残っていたのだったが。

それから数年後、沖縄を久しぶりに訪れて、その地に伝わる
キジムナーについて知ることになった。キジムナーは、古くから伝わる
妖怪、あるいは精霊のことらしい。赤い顔をした子供で、古い木、多くは
ガジュマルに棲んでいる、と聞いて、ジャワ島の樹木への「埋葬」を
思い出した。木に棲む、子供の形をした精霊との関連性を思ったのである。

それからしばらくして、奄美大島を訪れる機会もあったのだが。
ここでは、ケンムンという妖怪についても知ることになった。
河童の仲間のように伝わっているが、住んでいるのはやはり、ガジュマル
なんだという。河童なら、水際の岩場あたりに住んでいてもよさそうなのに。

ジャワ島で、小さな子供が死ぬと樹に葬るのは、全うできなかった命を、
樹の中で再生させよう、という望みに支えられたものではないだろうか。
南の島で、もっとも生気盛んな生き物である樹。

死んだ子はそこから再生し、それなりの姿を得、周囲の人々に子どもらしい
いたずらをしたり、跳ねまわって遊んだりしながら、身近で生きている、
そんな思い、願いが、キジムナーやケンムンのような
妖怪の存在を信じさせるようになったのでは・・・・などと考える。

沖縄や奄美に、小児を樹に葬る習慣があったとは、耳にしたことがないし、
ジャワ島に、キジムナーのような妖怪が存在しているかどうかも知らないが。

私たち日本人の、おそらく数パーセントくらいは、ジャワ島あたりを源とする
人たちの遺伝子を持っている。南西諸島となると、もっと強く、彼らの血を
ひいていることだろう。遠い昔、樹木への「葬儀法」が伝わり、やがては、
樹に棲む子供の形をした妖怪が生まれた、としても不思議はない気がするのだ。
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