SSブログ

ペルー旅物語(その5) [旅]

リマの印象を一言で言うと、ほこりっぽい、だった。
目につくところに埃やごみがいっぱい、という印象である。
三月だったので、中南米はこれから秋、という季節。
半袖で町を歩くと、うっすらと汗をかく、くらいの気候だったが。
空気が乾燥しているらしく、道端にゴミが捨てられていても、
日本のように腐って匂う、ということが少ないらしい。それで、
みんな、ぽんぽん捨てて歩く。屋根の高いところで、何かひらひら
しているので、鳥かな、と思うと、レジ袋が引っかかって揺れているだけ。

クスコは標高四千メートルを超えた地にある。リマを発った飛行機は
ほとんど高度を落とすことなく、ほぼ水平に着陸し、驚いたことを
思い出す。高地だけにクスコは寒く、翌日はうっすらと雪が積もった。

高山病を心配したソフィアが薬を持たせてくれたけれど、使わなかった。
言われていたような症状(呼吸が苦しくなる、身体が縛られたように
身動きできにくくなる)はほとんど感じなかったからである。たぶん
若かったからだろう。それから十三年後、私はエクアドルに行く
機会があったが、ここで初めて、高山病らしい症状に襲われた。
さほど急でもない坂道で、まったく足が動かなくなって・・・・。

クスコの町は、素晴らしかった。いかにもインカの古都らしい
重々しさが感じられ。そして町ゆく人たちの衣装の独特なこと。
当初は、観光客のために人々が特別に装っているのか、と疑って
いたのだが。そうではなかった。赤を主に、黒や黄、緑の鮮やかな
染料で染めた衣装は彼らの普段着で、近くで見るとかなり汚れている。
後でわかったことだが、現地の人は一生に二度しか入浴しない人が
ほとんどなのだそうだ。生まれた時と、死ぬ時と。今は変わっているかも。

それぞれやはり派手な色彩の帽子をかぶっているのだが、それらは
民族ごとにデザインが異なるのだとか。女性は大きな風呂敷包みのような
ものを背に負っていることが多い。赤ん坊まで、風呂敷で包んで
背負うのだそうだ。すれ違いざま「ブイッツ」と背の包みから変な音がして
思わず後ずさったことがあった。すると包みからぽろっと子豚が顔を出し、
背負っていた女性が、ニコニコしながら振り向く・・・。生きている鶏を
抱きながら歩き、そのままバスに乗る子供もいた。

市場では、驚くほどの種類のじゃが芋、トマト、玉蜀黍、豆類が
売られていた。これらは皆、北米大陸原産。赤や紫のじゃが芋に
驚き、そして食べてみて、甘くコクがあることにも驚き。
夕食に食べたシチュウは、薄いチョコレート色の肉が入っていたが、
これはどうも、リャマの肉、らしかった。柔らかく美味だったが。

小さな用品店で、家族へのお土産にアルパカのセーターを六枚買った。
リマで待つソフィアに、イヤリングも購入する。大きな民族衣装の人形は自分用に。
店主の中年女性は、気前よくまけてくれたのだが。それでもかなりの
収入だったらしい。私が店を出た後、すぐに店じまいの支度を始めるので
笑ってしまった。今日はもう、一日分以上、売れたから、ということらしい。

IMG_20240304_074547.jpg

左からソフィアの従妹、ソフィアの叔母さん、ソフィア、私。リマの実家で。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0