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縦のものを横にする [短歌]

昨年11月頃、ちょっとしたことで、連絡する機会があったY氏。
短歌の英訳に長く携わってこられた方で、多くの著書がある。
日本で英訳短歌の会のまとめ役もしておられる。面識はなかったが、
私の方から、Y氏の著書についてお尋ねし、送付して頂けるよう
お願いしたのだった。その際、英語短歌の会への入会を勧められた。

私は英語の日本語訳は何とかこなしているが、和文英訳は全く自信がない。
英語の語感に乏しいからである。
何かを伝えるための散文なら、言葉使いがヘンでも、理解してもらえればいい。
でも、調べと内容とが一体化し、非日常的世界へと導く、
そのためにこそあるような詩歌において、この語感の貧困さは
致命的だと思ってきた。だから、その旨を説明してお断りした。

ところが、四月も下旬に入ってから、突然Yさんからメールが届いた。
「発送間近になっている機関紙の春号にあなたの作品が載っていない。
来号には是非出詠してください。
年一度の総会は、コロナで三年ぶりに開くことになり、それが四月末。
場所は都内なので、都合がつけば是非出席してください」
とあって、仰天した。入会などもちろんしていず、全く忘れていたのに。

でも、英語短歌に長く携わってこられたらしいY氏に訊きたいことは
ヤマほどあった。直接お会いできる機会があれば、と思ってきた。
それがどんな形でも叶う、とならば、とでかけることにした。

都内とは言え、多摩の我が家から一時間半近くかかるところ。
ちょっと気が重かったが、思い切って出かけてよかった!
出席者10名(会員は国内外に散らばっていて、首都圏の人以外からの
参加は難しいので、少人数だった)が異なる結社に属しながら、
それぞれの立場で、英語短歌に関わっている様子が実に面白かったから。

なかには、長く海外生活をされていて、まずは英語で作歌して、その後、
日本語に訳しているという方も。海外会員には日本語が全くできず、
英語短歌のみを投稿されている方もいる。日本語ができる会員は、
和英、両方での投稿が原則となっているようである。

短歌の英訳について、あるいは英語で短歌を詠む意義について、など
訊きたいことの幾つかは質問することはできた。充分にお答えいただく
ことはできなかったが、多くの人が暗中模索、というような状態のまま、
ただ英語が好き、短歌が好きという気持ちに従って
やってこられているらしかった。その気持ちは尊いものに感じられた。

機関紙は年に二度の発行だそうで、次の秋号には、作品を掲載する
約束まですることに。まあ、あれよあれよと急流に流されているような
この旬日ではありましたが。

最近作った自分の歌の幾つかを(もちろん日本語での)を思い浮かべ、
心の中で、英訳を試みている。難しいけれど。新しい挑戦で、少々
ワクワクしている。我ながら、乗せられやすい人だなあ、と呆れながら。
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