SSブログ

犬の熱中症 [生活]

今年は六月下旬に早々の梅雨明け、そして驚異的な暑さに
襲われたが、この数日の熱波はそれに勝るとも劣らない
暑さ。とにかく涼しいうちにあれこれやっておこうと、
六時前に起床するようにしている。

夏になり、熱中症が話題になると、亡くなった愛犬のことを思い出す。
亡くなる前年の七月、その時はすでに十五歳を過ぎていたのだが、
まだまだ元気そうで、お散歩が大好きだった。その日はあまり
暑くはなかったが、梅雨明け前の蒸し蒸しする日だった。
午後三時過ぎ、夕刊を取りに出て、裏庭にいた愛犬を見ると、
どうも様子がおかしい。私を見て、立ち上がろうとするのだが、
四つ足に力が入っていないようで、ふらふらしている。

私は玄関の三和土に犬を誘導して、水を飲ませようとしたが。
口をつけようともせず、視点の定まらない目でこちらを見るばかり。
蒸し暑いから元気ないんだな、と思い、水の代わりに大好きな
鶏のスープなら飲むのでは、とスープを作って出したのだが、
それも飲まないのである! 嫌な予感がした。

すると、そこへ相棒が帰ってきた。その日はいつもより
仕事が早く終わる日だったのだ。犬の様子を見て、相棒は
すぐに言った「あ、これは熱中症だ!」

ええ! そんなに暑くないのに。どうして? 
私は混乱したのだが・・・。
相棒は鞄を玄関に放り出したまま、犬を裏庭に連れ出し、
ホースで全身に水をかけたのである。私はびっくり。
だって、我が愛犬は、水が大嫌いなのだ。まだ幼犬だったころ、
お風呂に入れようとして、激しく暴れられ・・・。
それ以来、一度も入浴はしていない。ペットクリニックで
相談すると、「麻酔をして入浴させましょう」と言われ、それは
余りにもかわいそう、と思い、以来、ブラッシングだけで、
辛うじて清潔(ともいえないが)を保ってきた。
こんなに調子悪そうなのに、よりにもよって水をかけるなんて、
と私は、相棒の「暴挙」にあきれ返ったのだが。

水をたっぷりと浴びせられると、それまでぐったりしていた犬が、
急に、元気よくブルブルブルっと、身体を震わせて水を払いのけ
すぐに、差し出した水を音を立てて飲み始めるではないか!

その劇的な変化に、本当に驚かされた。愛犬はすっかり
いつものやんちゃな犬に戻って、スープを飲み、散歩にも行き。

相棒がたまたま早く帰宅できる日で、本当に良かった。
私には、水をかける、という発想は全くなかったから。

あれからちょうど一年後、十六歳と三か月で、愛犬は
亡くなったが、それも熱中症がきっかけだったようである。
やはりさほど暑くはないが、風がなく蒸す日の夕方。

全身に水をかけたが、足を踏んばって立つ力がなくなっていて、
水をうまく飲めなくなっていたのが致命的だった。
近くのクリニックへ入院し、四日後に亡くなった。

でも一年は、相棒の機転で、寿命が延びたんだ。
よかったね、と時々遺影に声をかけている。
nice!(0)  コメント(0)