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再びの絵本・ゆきのふるよる [藝術]

この絵本には、思い出がぎっしり詰まっていて、
見るたびに懐かしくなる。1992年11月金の星社刊。
作者はニック・バタワース。訳者は、はやしまみ。
ここでは省略するが、ちょっとした経緯があって、
この本は訳者本人から直接手渡されたもの。彼女の
私宛の短いメッセージとサインが記されている。

手元に置いていて長い。最近、思い立ってもう一度
じっくりと見てみることに。表紙の絵が、素晴らしくきれいだ、
とあらためて感心する。アナグマ、アヒル、ハリネズミ、ネズミ、
たちが、一軒の家のドアの前に、寒そうに立っている場面。
彼らの頭上には大きなぼたん雪が降り、開いているドアから
漏れる黄色い光が、彼らの横顔を照らし出している。

この家の持ち主のことを紹介するところから絵本は
始まっているのだが、その最初の3,4頁の絵がまた、すてきだ。
持ち主は、ちょっと冴えない、中年の男性。
でも、穏やかで人のよさそうな笑顔がなかなかいいのである。

見ていて飽きない絵本だな、と今も思う。特に何、ということも
ないような場面に用いられている色彩が素晴らしい。
ぼたん雪の向こうの、深い夜空の色。
冬の朝の、うっすらと霧がかかった中に浮かぶ木木の色。
木造の家の板壁や外に続く階段の、風雪にさらされた
その褪めたような傷み具合・・・。

アトリエの先生も「色がすばらしくシックですね」と
驚嘆されておられた。
はやしさんには、もう20年以上お会いしていない。
この本ももう絶版になっているらしい。いいなあ、と思う絵本は、
長く大切に持っていないと、再入手は難しく、後悔することに
なるなあ、と改めて思う。
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