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置賜の味・ミズ [食文化]

ミズという山菜は、子供の頃によく食べていた。母が山菜摘みが好きで、
ちょうど今頃の季節になると、友人たちと近くの山野へ出かけて、この
ミズも摘んできては、食卓に並べていた記憶がある。

私には、母の山菜摘みに同行した記憶はない。妹にはあるかも知れないのだが、
何しろ、私は我が家ではこの点で、かなりの異端なのだった。両親も妹も
家庭菜園などを楽しみ、山菜摘みなどもその延長で良く出かけていたが、
私は土いじりは苦手、そして山もそれ以上に苦手なのだった。

母がミズを摘んできて、ざっと湯がき、おひたしなどに調理しながら
「山で、蛇に会ったの。細くて、長めの蛇だったわ」
などと平然と話す様子に、「信じられない!」と思ったものだ。私は
この手の動物がとても苦手で、全身に鳥肌が立ち、固まって動けなくなる。
蜥蜴、蛙、ヤモリ、などなど今は大分耐性ができてきているものもあるが、
蛇はまだまだ、駄目である。

ミズについて調べて見ると、別名「ウワバミソウ」ともいい、蛇とは
深い関連があるらしいことがわかる。牧野植物図鑑によると、
「ヘビ過食の際、この草を食えば、たちまち消化するゆえ」とあり、
蛇にとっての「胃腸薬」みたいな草らしいのである(他にも説がある)。

ウワバミソウ(つまり蛇草)、と子供の頃の私が知っていたら、ミズを食べるとき、
躊躇しただろうと思うが・・・。ミズは爽やかな味のする山菜で、嫌いではなかった。
食用する茎の部分は透明感のある薄緑色をしていて、根元の方に少し赤みが
さしている。粘着性があり、山形県では、根の方の部分を叩いて、とろろ風に
仕立てる、と紹介している本もあるが、私はこの調理法は知らなかった。

ミズ、という名は、崖の水が滴るような場所、渓流沿いなどに生えるから、
らしいが、もう少し愛らしい名前にできなかったのかな、と思う。
語感だけなら、ウワバミソウの方が、まだましな気さえする。

米沢では、山菜ときのこの水煮を購入して帰った。ふき、うど、わらび、ぜんまい
なめこ、ぶなしめじ等の他、ミズも入っていて、懐かしかった。

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写真の左上方の透明感のある黄緑の茎がミズ、です。

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