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置賜の味・うこぎ [食文化]

今回の山形県南部を訪れた際に味わった食材について、
メモ風に綴っておくことにしたい。
最初の食材は、米沢に特有の味として、以前に日テレの人気番組、
「秘密の県民ショー」で十年くらい前に紹介されていた「うこぎ」。
うこぎにはいくつか種類があるが、米沢で利用されるのはひめうこぎ、
の類らしい。

私はこの番組を見るまで、うこぎを知らなかった。この番組は
最近は全く見ていないのでわからないが、以前は大阪と山形の
登場率が高かったような印象があった。「うこぎ」の紹介のされ方も、
垣根にする木の、若芽を食べるなんて・・・。とちょっと呆れるような
雰囲気を帯びていた気がする。大阪風の「茶化し」が山形に及んでいる、
そんな印象さえあったんだったが、さて。

米沢に行ってみると、どこの垣根にも、うこぎを見つけることができて
感動してしまった。地震時の被害を考えると、ブロック塀より
はるかに垣根が合理的。さらに食材にもなるとは、かなり便利!
そして若芽はやや苦みを帯び、さわやかでまさに早春の味がする。

うこぎについて、帰宅してから調べてみたら、なんと、中国では、
有名な薬用酒にも使われていることが分かって驚く。その名も
五加皮(ウージャーピー)酒。数年前まで相棒が中国で仕事をしていたので、
時々、お土産に買ってきてくれていた。中国には五糧液(ウーリャンイエ)
というお酒もあり、こちらは紅高粱、糯米、粳米、玉蜀黍、小麦を材料と
していて、まさに五つの穀類から成るので、五糧液、というのだった。

五加皮もまた、五種類の薬用食材が使われているのでは、と
何となく思っていたのだったが、何と、中国語でうこぎのことを
「五加」というのだ、と初めて知った。五加の根皮を用いて作るので
五加皮酒というらしいが、他に当帰や丁香なども加えるらしい。
古くから作られている薬酒で、『本草綱目』にも記載されているという。

米沢のうこぎは、災害時の被害軽減、早春時の野菜確保、さらに
薬効も期待されての利用だったんだ! とあらためて驚く。
『中国食物事典』(柴田書店)によると、筋骨を丈夫にし、皮膚の疾患
などに効能を発揮するのだとか。

うこぎの味を五加皮酒で味わってみたくなった。近くの中華料理店
(少し中国酒も置いている)や、やや遠くの大きなスーパーを回って見たが、
五加皮酒は見つからなかった。近く、横浜の中華街に会食も兼ねて探しに行くつもり。
              (この項、続けます)
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