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父の俳句 [文学]

コロナ禍の家籠りで、部屋の片づけをしたことは先日書いた。
その折に久しぶりに手にした本のひとつが父の句集。
父は昨年二月に亡くなったが、七十代から八十代にかけての
十年ほど、熱心に句作に励んでいた。他にも焼き物をしたり、
詩吟など、趣味が多く、俳句はほんの「息抜き」程度に
やっていたように見えたのだが。

ある日、父から電話があって
「これからちょっと、玄関先に寄る」と言われたときは、
何事だろう、と思った。母は用事の有無にかかわらず
ちょくちょく私のところへやってきていたが、
父はよほどの様がない限り、顔を見せない人だったから。

父は真新しい、青いシャツを着て、いつもより
しゃん、としている様子だった。そしておもむろに
茶封筒入りの小冊子を差し出した。
「これ、こんど出したから」

緑色の表紙の、A5判、一センチほどの厚さで、
「合同句集 のびる」と題されていた。
「ええ、凄い、句集出したんだね!」
と言うと、いつものようにちょっと照れたように笑い、
「じゃあ」
と片手をあげるとそそくさと帰っていった。(この項、続けます)
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牛乳で作るお菓子 [食文化]

コロナ禍で学校の休校が相次ぎ、給食時に供される
予定だった牛乳が余り、酪農を営んでいる人たちが窮地に
立たされている、という報道を耳にした。
仕事の都合で、北海道の農家を何度も訪れたことのある
相棒はいつも「特に酪農農家って大変なんだ。
生き物が相手だから、休めないし」と言っている。

そんな日本の乳業を支える人たちの一助になれば、とこのところ
普段より多めに牛乳を買っている。でも家族は二人だけ。
おまけに相棒は生の牛乳が全く飲めない人。お腹を壊しちゃう
らしい。毎朝、二人で温めたミルクをたっぷり入れた紅茶を
飲んではいるけれど、それだけではなかなか、捌けない。

それで、牛乳を使って簡単に作れるお菓子を。

先ずはミルクゼリー。粉ゼラチン5gを大匙一杯の水に
振り入れて溶かし、お砂糖70g(好みで増減を)を溶いた
牛乳230CC を70度くらいに温めてから、ゼリーを
溶かし入れ、よくまぜてからガラス器などに入れて
冷蔵庫で冷やす。とても簡単です。缶詰の果物などを
かざると、ちょっと豪華な一品に。

ついで、牛乳でつくる餅菓子。牛乳140㏄に片栗粉大匙三杯、
砂糖を大匙一杯半(好みで増減してね)を入れてよくかき混ぜる。
その後、弱火にかけて木べらで練っていく。
程よい硬さになったら、ラップを敷いたパットの上で
粗熱を取る。食べやすい大きさに丸めて、黄な粉や
黒蜜をかけて供します。くずもちみたいな食感を楽しめます。

他にもフレンチトーストとか、プリンとか。牛乳を使う、
簡単な料理は沢山ありますね。心して、牛乳を消費しよう!
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スミロドン [旅]

コロナ禍で家籠りの日日、これを機にと少し
書棚を片付けた。本が雪崩れそうなほど増えていて、
少しずつ整理しないと、いけないなとは思っていた。
でもこういう時に、思いがけないお宝本を発見(!?)したり
するので、気を抜くことができない。このたびもまた・・・。
見つけたのは、『Ice Age Mammals and the Emergence of Man 』
アメリカに住んでいた時にワシントンにでかけたことがある。
その折に訪れたスミソニアンの自然史博物館で購入した。

博物館の展示物説明パンフである。
36頁しかなく、大きさもA5判と小さい。でもなぜ購入したか、
その表紙を見ただけで、当時の興奮が想像された。表表紙と
裏表紙が続きになっていて、全体がスミロドンの骨格の
写真なのである。見事にすべての骨が完全に残っている骨格の。

スミロドンは日本では剣歯虎、と訳されている。英語では
Sabertoothed Cat と名付けられている。その名の通り、
前歯に日本、サーベル状の巨大な歯を持っていて、体長は2m、
体重はおそらく270キロくらいにまでなったのではないか、
とされている。このパンフによると、
ロスアンジェルスの近郊、ランチョ・ラ・ブレアというところ
で発見されたらしい。ここは泥炭地で動物の骨が完全な形で
保持されている条件がそろっていて、この剣歯虎を含め、
200種類もの動物の骨が発見されているのだとか・・・。

あらためて剣歯虎の骨格写真を眺めてみる。何度見ても
素晴らしい。スミソニアンにはアメリカで知り合ったユダヤ人の
ロンと一緒に出掛けた。彼はテルアビブ大学で動物学を専攻していて、
動物に素晴らしく詳しかったので、彼の解説付きでこの博物館を
堪能したのだった。ほんとに得難い体験だった。その時の記念に、
博物館ショップでこのパンフを購入したものだろう。

となぜかあいまいな書き方にしかなっていないのは、その
博物館で見たもの、聞いたものをあまり覚えていないのである。
この後、博物館前に私を迎えに来てくれた永田和宏氏の車で、
ワシントン在住の日本人たちの人たちと行う、歌会の会場へと
向ったからである。同じ日に大きなイベントが二つもあり、
私はかなり頭の中が混乱してしまっていたらしい。

日本語でインプットしたことの方が明らかに強く記憶に残り、
英語で仕入れたことを押しのけてしまったみたいである。
パンフを購入していなかったら、当時の興奮を思い出すことも
なかったかもしれない。それにしてもスミロドンの迫力、凄まじい。
もう一度、ワシントンのスミソニアンを訪れたくなる。
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なごやん [食文化]

短歌をやっていると、なんというか、どうでもいいような
些細な知識というか、情報というか、が入ってくる。
知らない言葉があると調べたくなるし、ずっとどういうことだろう、
と不思議に思っていたことが、たった一首で、ああ、そういうこと、
と腑に落ちたりすることもある。

私はお菓子のうたを集めているので、歌誌や歌集を読むときは、
それとなく気をつけている。聞いたこともないお菓子や、その食べ方、
産地なども、短歌で知る、ということが多々ある。
「塔四月号」を読んでいた時、そんなお菓子を発見。

  べらばうに賞味期限の長き菓子<なごやん>喰ひて空腹まぎらす
                    高阪謙次

え、なごやん、ってどんなお菓子?知らないぞ、と心に残った。
その数日後、近くのスーパーで買い物した帰り。
レジの近くの、お菓子コーナー、ここには時々、地方の銘菓が
並んでいることがあるのだが、そこをちらりと覗くと・・・。
なんと、「なごやん」があったのだ!びっくり!凄い偶然!

地味な感じの茶色く平たい、お饅頭でした。
う~ん、これかあ。(持ち上げて、裏の表示を見る)なるほど、
賞味期限長い! と歌の内容を確かめ。家にまだお菓子のストック
あったもんなあ。それに歌で知る限り、特に美味、って感じじゃない。
と、その場では購入しませんでした。でも、なごやん、バッチリ覚えたぞ。        
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一首評、再び [短歌]

私が所属している塔短歌会で毎月発行している歌誌には、
「一首評」というコーナーがある。前々月に掲載された作品から
一首だけ選んで、その鑑賞する、というもの。編集部の一員である
私が、毎月執筆者を選んで、はがきで依頼している。

毎月八名の人に書いてもらうことになっているので、
人選も結構大変だ。「塔」の発送が遅れたりすると、さらに
大変になる。その月の末日締め切りで原稿依頼するので、
「こんな短い間に、一首だけ選べ、なんて無理!」と、
文句を言われたりする。書かないまま放って置かれるよりも、
早々に断ってくれる方が有難いのだけれども。

毎月「塔」が届くと、何をさておき、一首評の人選をする。
ポストに依頼の葉書を投函してから、おもむろに
「塔」を読み始める。それも、たいてい、一首評のコーナーから。
この欄が充実していると、また、ちょっと報われた気になる。
最近では、四月号の一首評が良かった。選ばれている歌が、
どれも良くて、執筆者もそれぞれ、気合を入れて書いてくれているのが
ビシビシと伝わってくる文章だった。
この一首について、どうしても言いたいことがある、その
気持ちこそが一番大切なんだ、ということを改めて感じた。

以前に書いたことがあるが、一首評を依頼したある方から
お断りの連絡を受けた折、そこに書かれていた
「赤紙、ならぬこんなはがきが届くなんて」
という一節に、驚愕したことがある。戦後生まれの私も、「赤紙」なる
ことばの重さ、忌まわしさ、悲しさ、はわかっている。
ちょっとした冗談のつもりだったのだろうか、私は、
全身の力が抜ける感じがして、しばらく立ち直れなかった。

「塔」の編集はみんながボランティアでやっている。
どの人も仕事や家庭や地域社会での様々な用事を持つ傍ら、
毎月毎月の多くの雑用(そう、ほとんどが雑用なのである、それも
大量の!)をこなしている。ただただ、短歌が好きだからというだけで。
そのことを忘れないでほしい。
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ローストビーフ [食文化]

コロナ籠りで家で三食食べることが普通になったから、
このところの家事増加、はすなわち台所仕事の増加。

買い出しは以前は週三、四回だったが、今は
週二度、まとめ買いすることにしたので、こちらの
負担はかなり減少。そして、三、四日分の食事メニューを
考えて買い物するようになったので、食事つくりも
効率的になった。台所仕事も計画的にできると、かなり
楽ちんだな、と思えるようになった。
ただ、どうしても食事がマンネリ化しやすい。
外食でちょっと豪華に、とかできないし。

高級和牛が余っている、という話だけれど、
私が出かけられるようなスーパーではとんと見かけない。
少し安くして庶民に放出してくれたらいいのに。
と思っていたら、そのスーパーで、相棒が
「ちょっと高いけど、おいしそうだよ」と、みつけたのが
「王様のローストビーフ」。一頭の牛からわずかしかとれない、
ともさんかく、というもも肉部分が使ってあるのだそうだ。

パックを開くと、ローストされたビーフの塊が入っていて、
重さは100g。西洋わさびのパックとソースがついている。
朝食に供することにした。ローストビーフは家で作ったことが
あるけれど、実はあまりおいしくできなかった。
健康のために、と脂肪分の少ない部位を使ったのが
良くなかったのかも。ぱさぱさしていて、味が今一つ。

それに、手間をかけて作っても、ローストビーフは
主菜にはなりにくい。同じように手間をかけるなら、
すね部分を使って圧力釜で煮込んで作るビーフシチューの方が
間違いなく美味にできるし、主菜として独り立ちしてくれる。
食卓に出しても華やかでご馳走っぽい。かたやローストビーフは・・
というわけで、我が家ではなかなか登場しなかった料理であった。

さて、このともさんかくのローストビーフ、柔らかくて、
なかなか美味しかった。西洋わさびがついているのもちょっと嬉しい。
お値段は税込みで千円弱、と家でたべるならちょっと高いが、
外食することを考えたら、信じられない安さ、ですよね。
それでも、諸々の手間はかかる。食事にまつわる、
小さな負担が、毎日毎日、チリのように心と体に積もっていく。
ああ、どこかでまた、美味しい外食をしたい!
切ったり、洗ったり、片付けモノをしなくて済む食事がしたい!
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ダンスウイズミー [映画]

「ウオーターボーイズ」で頭角を現した、矢口史靖監督の
作品。日本で製作されるミュージカルは少ないので、少々
期待を持って、でも期待しすぎないように心して、観た。

このところのコロナ禍で、家籠りの日日。ひたすら家事を
こなす。とにかく家事家事家事、の合間に本を読み、
少し運動し、絵を描き、そして、家事家事・・・の日日。

こう言う状態でこの映画を観た、ということが良かったのかも。
内容はほんと、しょうもない感じ。でもそのアホらしさが、
今の私には嬉しかった。音楽を聞くと、踊り出さずには
いられない、なんて。そう、暇があったら、踊っていれば
運動不足も解消されるし、余分な心配事もしなくて済む。

でもこの映画、途中からロードムービーっぽくなって、
つまりあのエセ催眠術師を追いかけ始めるところから、
音楽が聞こえた途端に、弾ける様に踊り出す、楽しい
場面ががぜん少なく、さらに地味になってしまうのは、
ちょっと残念な気がした。

踊りも歌もそんなにうまくはなくて、その素人っぽいところが
逆に日本人には好ましく思えるのかもなあ、とも。
フレッドアステアみたいにうまかったら、嘘っぽいもんね。

ああ、ミュージカル、オペラ、観たいなあ。
NYで観た、「オペラ座の怪人」が素晴らしかったこと、
映画館で今年は「ポギーとベス」が、さらに
「さまよえるオランダ人」が観られるはずだったのに!
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