SSブログ

一首評、再び [短歌]

私が所属している塔短歌会で毎月発行している歌誌には、
「一首評」というコーナーがある。前々月に掲載された作品から
一首だけ選んで、その鑑賞する、というもの。編集部の一員である
私が、毎月執筆者を選んで、はがきで依頼している。

毎月八名の人に書いてもらうことになっているので、
人選も結構大変だ。「塔」の発送が遅れたりすると、さらに
大変になる。その月の末日締め切りで原稿依頼するので、
「こんな短い間に、一首だけ選べ、なんて無理!」と、
文句を言われたりする。書かないまま放って置かれるよりも、
早々に断ってくれる方が有難いのだけれども。

毎月「塔」が届くと、何をさておき、一首評の人選をする。
ポストに依頼の葉書を投函してから、おもむろに
「塔」を読み始める。それも、たいてい、一首評のコーナーから。
この欄が充実していると、また、ちょっと報われた気になる。
最近では、四月号の一首評が良かった。選ばれている歌が、
どれも良くて、執筆者もそれぞれ、気合を入れて書いてくれているのが
ビシビシと伝わってくる文章だった。
この一首について、どうしても言いたいことがある、その
気持ちこそが一番大切なんだ、ということを改めて感じた。

以前に書いたことがあるが、一首評を依頼したある方から
お断りの連絡を受けた折、そこに書かれていた
「赤紙、ならぬこんなはがきが届くなんて」
という一節に、驚愕したことがある。戦後生まれの私も、「赤紙」なる
ことばの重さ、忌まわしさ、悲しさ、はわかっている。
ちょっとした冗談のつもりだったのだろうか、私は、
全身の力が抜ける感じがして、しばらく立ち直れなかった。

「塔」の編集はみんながボランティアでやっている。
どの人も仕事や家庭や地域社会での様々な用事を持つ傍ら、
毎月毎月の多くの雑用(そう、ほとんどが雑用なのである、それも
大量の!)をこなしている。ただただ、短歌が好きだからというだけで。
そのことを忘れないでほしい。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0