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美味しいみかん [食文化]

北国育ちの私は、長いこと、みかんという果実に対し、
強いあこがれを持ち続けてきた。就職して初めての冬、
その時はもう結婚していたのだけれど、自分の稼いだお金で
思う存分蜜柑を味わえる幸せに浸り続け、相棒があきれるほど、
みかんを食べまくっていた。

それなのにここ何年も、蜜柑をほとんど口にしなくなっていた。
いつからだろう、蜜柑を食べておいしい、と言うことがなくなって
しまっていたから。ただべったりと甘く、みずみずしさに欠け
ほのかな酸っぱさに欠け、深い味わいに欠け・・・。

「塔」九月号を読んでいたら「私の休日」というコラムを担当している
池田行謙さんが「美味しい温州みかんとは」と言う題で
みかんの選び方を指南されていた。池田さんはかんきつ類の農学的
専門家でおられるらしい。池田さんの推薦によると(美味しさの基準は
人それぞれであるし、品種による例外もある、としたうえで)
規格がS以下の小玉、油泡(果皮の粒粒)が細かく多く、果経は
より扁平、果梗(枝の切断痕)が小さく、ヘタは緑で瑞々しく、
時期的に12月までの果実、が美味しいらしい。

私が普段利用するスーパーで、近いものを探してみた。
直径5センチほどのSSサイズのものがみつかる。ヘタはやや乾いていて、
緑色のみずみずしさはないが、果経は小さく、扁平に近いかたち。
時期的にも、まだ十月中旬!油泡は、ネットに入っていてよくわからない。

とりあえず、買って帰って食べてみて、う~ん、と唸った。
美味しいのである。これはもう三十年ぶりくらいに口にする、
美味な蜜柑だった。いったい、産地はどこなんだろう。
ネットの中に小さな紙が入っていて、「鹿児島県産極早生みかん」
と表記されておりました。
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