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ナチスの愛したフェルメール [映画]

オランダの画家メーヘレンは、戦後、ナチスの国家元帥・ゲーリングに
フェルメールの作品を売却した、としてオランダ文化略奪者、ナチスの
協力者という罪で、裁判にかけられる。有罪となると長い懲役刑に
かけられることになる・・・。

実話に基づいたこの映画は、最初、競売にかけられている
フェルメールの作品をいきなり現れた男が引き裂く、という
衝撃的な場面から始まるのだが・・・。これはどうも、男の
幻想? のようである。フェルメールはただでさえ謎の多い画家だが
はたして、いったい、どういうことなのか・・・。観客は嫌が上にも
映画の世界に引き込まれてしまうのだけれど。

オランダの画家メーヘレンは、レンブラントやフェルメールら
古典作家の模倣に過ぎないと批判されたことに腹を立て、
フェルメールの贋作作りに手をかけていたのだった。
ナチスの幹部に高額で買い取らせたフェルメールは、実は
彼の描いた偽物だったのである。

メーヘレンの妻が差し出した「証拠」によって、メーヘレンは
「文化財の売却」の件では無罪になるが、多額の罰金を命じられる。
裁判官の「お前の絵と、フェルメールの絵の値段の差だ」の言に
「え、同じ絵なのに?」と問い返す場面はとりわけ印象的である。
そうなのだ、人は絵という作品に対して対価を払うのではなく、
多く、「有名料」として払うのである。

思い出されるのは松本清張の小説『真贋の森』。
純粋に絵を楽しみたい者にとって、絵の対価、とは
何なんだろう? その高すぎる対価とは。
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