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ハローウィンと変身願望 [生活]

ハローウイン間近のソウルで、痛ましい事故が起きてしまった。
狭い通りで立ったまま圧死してしまうほどの人出だったとは。
ハローウインはアイルランドに起原を持つお祭りらしいが、
お祭り好き、仮装好きのアメリカ人たちが現在のような形に
定着させるに至ったようだ。それでも、家族や学校、職場など
狭い範囲で集まり、楽しむのが普通で、町に繰り出して大騒ぎする、
なんていうのは日本だけ、と思っていたら韓国もそうだったのか。

人は潜在的に変身願望を抱いているもので、一日だけでも、全くの
別人に生まれ変れるのなら、試してみたい、さらにその姿を多くの人に見て
もらえるのなら、その機会を是非利用したい、と思うもの。
特に若かったらその願望は強まるに違いない。こういう場が
日本や韓国にあると知って、世界中から人が集まるのも無理ない
ことのように思える。その場が不特定多数の人たちが自由に行き交う
町なかであることも、大きな魅力なのだろう。
問題はあまりにも狭い地区に、一時的に人が集中してしまったこと、
そして、危機意識が余りにも薄過ぎたことなどの方ではないか。

実は私も一度だけ、人前で「変身」を試みたことがある。
三十年前のことなので、今よりは若かったのだけれど、十代、二十代、
というわけではありませんな(モゴモゴ)。『魔女図鑑』(金の星社)という
絵本の翻訳を担当したのだが、その絵本が北海道の剣淵町が主催する
「絵本の里大賞」を受賞したので、授賞式への招待状が舞い込んだ。

授賞式では記念の講演もしてほしいと頼まれ、「翻訳苦労話」なら
えんえんとできる自信はあったが、そんな話では面白くないはず。
魔女の話をしよう、そして自分は魔女に扮装して出ることにしよう、
と決めた。服は真っ黒のワンピースがいい、黒い魔女風の帽子も
かぶろう、足元は黒いブーツ・・・。

黒のワンピースは当時の私には高価すぎる服しか見つからず、
結局、自分で縫った! 帽子もとんがり帽子がみつからず、やや大きめの
つばのついた黒い帽子にした(残念だった。今なら幾らでもあるのに)。

完璧さを欠いた、ほんの短い時間の変装だったけれど、超楽しかった。
魔女の話も、会場の人たちに楽しんでもらえた、と思う。
あの時のワクワク感を覚えているから、若い人の一時の「はめはずし」には
できるだけ寛容な社会であってほしい、と思うのである。
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