SSブログ

「塔」百葉集・続 [短歌]

ちょっと事情があって、出かけることも、少々時間のかかりそうなこと
などにも、取り組めないでいる。とめどなく、時間が細切れになる。
その細切れを使い、相棒に頼み込んで「塔」の百葉集を一緒に
読んでいる。一度に十首ずつ。毎月の百葉集の半分、
十首にかける時間は、だいたい十数分程度である。

 強風に裏返る傘なんと言う江戸は御猪口で浪花は松茸
                  加藤紀「塔 2022年2月号」

裏返った傘を、大阪では「松茸」と呼ぶとは! 初めて知った。
大阪で少年時代を過ごした相棒は、途端に元気づいて、そうなんだ、
大阪では松茸なんだよ~。と得意そうだ。
「ええ、何で!? 松茸ってったら、高級品じゃん!」
「大阪じゃ、松茸なんて、シイタケとおんなじ程度の茸だったんだ」
「ええ~っ」
「シイタケの栽培ができるようになったのはそんな昔じゃないし。
産地は、九州のほうだしね。東京は何で、お猪口なんだろう?」
「ふうむ。お猪口みたいに見えるのかな?」
「山形じゃ、どう言ったの? やっぱりお猪口?」
「・・・・? え~と、え~っと・・・。
あれ、思い出せない。お猪口じゃなかったことは確か。だって、
私が東京に来た時、傘が〇〇になった、と言って笑われたことを
覚えているもの。共通語じゃなかったのか、と思ったんだから」

(後で、ネットで調べて「傘がキノコになる」と言っていたことを
思い出した。ふ~む、松茸、とキノコ・・・)

裏返った傘の話を長々と続けながら、この歌、作品としてはどうなの?
そこを討論しなくちゃいけないじゃないか。と思いつつ。
こういう脱線も楽しいかも。大勢の人たちと共に行う歌会の時に、
長々とやられると、参っちゃうんだけれども。
nice!(0)  コメント(0)