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映画「RUN」 [映画]

相棒が観たい、というのでWOWOWから録画した映画。
サイコスリラーという触書だったので、ちょっとビビる。
私はこのジャンルはかなり苦手なのだ(滞米時に、成り行きから
「ヒッチャー」を観ることになってしまい、途中から耐えられなくなって
映画館から逃げ出してしまったことがある)。この映画はどうだろう。

シングルマザーのダイアンと暮らすクロエは、先天的な病気で
車椅子生活を送っている。それでも自立を目指して大学入試を受け、
その結果の通知を待つ日々。ある日、母親から渡される薬に
疑念を抱く。そして難儀の末にその薬が、人間用に処方される種類のもの
ではなく、自分の歩行を妨げている原因になっているらしい、と気がつく。

自分に深い愛情を注いでくれていると信じていた母親が、
自分の自由を、しかも「歩く」という基本的な動作の自由を奪っていた!

娘に自分の行いを知られてしまった母親の、それからの行動は
さらに狂気に満ちたものになり、物語は恐ろしい展開を見せていく。

これは極端化された「物語」なのだが、「愛情」というものは、
往々にして相手の自由を奪う方向へ向かいがちなものである。
完全に無力で、生きるすべてを母親に依存していた乳児を、すべてを擲って
育て上げる母親の立場に立ってみれば、子供の自立は、すぐには
受け入れがたい、「裏切り」のようにも感じられるのではないだろうか。

映画の題名「RUN」についてだが、このRUNは、「走る」という
意味ではなく、「逃げる、逃亡する」という意味の方だろう。そこには
本来の「(両足を使って)逃げる」という意味が当然含まれていて、
母親によって足の自由を奪われた娘が、どのように「RUN」するのか、
という映画の一番の主題が掛けられているのである。
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