素人と短歌を読む・続 [短歌]
ここでの「素人」とは、歌を詠まず、ほぼ読まない我が相棒の
ことである。彼と「塔」の百様集を読み始めて二カ月ほど。
一度新聞歌壇を読み合ったのだが、また百葉集を読んでみよう、と話し合い。
今度は、かなり以前の「塔」の、百葉集、つまり吉川宏志氏が
主宰になる以前、河野裕子氏と永田和宏氏が選んでいた頃の
「塔」百葉集を読んでみることにしたのである。本棚から
無作為に引き出したのは、2004年2月号、河野・永田両氏が
交互に百葉集を選んでいた頃の、河野さん担当の号だった。
無精卵の男女(めを)住む町に囲はれてしづかにしづかに滅んで
ゆきたい 黒田英雄
(「男女」と書いて、「めを」のルビは変だと思ったが、選歌欄の作品は
「女男」となっているので、単純な校正漏れのようである)
なんだか不気味な歌だ。作中主体を含む、人類そのものが滅んでいく
ような絶望感・無力感が漂う。詠われたのは今から18年も前だが、その後も
日本の出生率は減り続け(世界人口は80億を突破したが)、少子化に
留まる気配はない。時代を映した、凄い歌だね、と嘆息する相棒。
一指二指三指はわれの第三子靴紐締めて行きたり逝きぬ 安田幸子
「これ、どういうこと? 一指、二指、三指って・・・」
「う~ん、数え歌風に始めてるんだろうね。子供の頃、一かけ、
二かけて 三かけて~、四かけて、五かけて橋をかけ~、とか
唄っていた。ここでは、第三子を引き出すための序詞みたいなものだと思う。
三番目の子供さんは、靴紐締めて、つまり通勤服みたいなきちんと
した装いで家を出て、そのまま帰らなかった、ってことだよね。
交通事故かな、あるいは・・・。わからないけれど。
こんな風に歌にできるまで、かなり時間は経っている気がする」
「そうか~。なるほどねえ・・・・。」
と、しみじみしているらしい、相棒。ほうら、短歌ってけっこう
いいでしょ、と内心ほくそ笑む私。
それからしばらく、河野さん選の百葉集を読み合う。
「河野さんの選の方が、面白い気がする」
と、相棒が言い出した。
「吉川さんはお若いから、かな。感覚が違うのかも」
相棒は、河野裕子さんとはほぼ同じ年齢。一方、吉川さんとは親子くらいに
歳が離れている。
「時代もあるのかな。この頃の作風の方があなたには合ってる、とか」
「今の歌、わからんの多いからなあ。でも塔の会員が増えすぎて、
選ぶの大変になっている、ってことは、ない?
今は吉川さん一人で、毎月えらんでいるんだろ? こんなに分厚い中から!
過酷だよなあ~」
と、相棒はしばし嘆息しきりでした。
ことである。彼と「塔」の百様集を読み始めて二カ月ほど。
一度新聞歌壇を読み合ったのだが、また百葉集を読んでみよう、と話し合い。
今度は、かなり以前の「塔」の、百葉集、つまり吉川宏志氏が
主宰になる以前、河野裕子氏と永田和宏氏が選んでいた頃の
「塔」百葉集を読んでみることにしたのである。本棚から
無作為に引き出したのは、2004年2月号、河野・永田両氏が
交互に百葉集を選んでいた頃の、河野さん担当の号だった。
無精卵の男女(めを)住む町に囲はれてしづかにしづかに滅んで
ゆきたい 黒田英雄
(「男女」と書いて、「めを」のルビは変だと思ったが、選歌欄の作品は
「女男」となっているので、単純な校正漏れのようである)
なんだか不気味な歌だ。作中主体を含む、人類そのものが滅んでいく
ような絶望感・無力感が漂う。詠われたのは今から18年も前だが、その後も
日本の出生率は減り続け(世界人口は80億を突破したが)、少子化に
留まる気配はない。時代を映した、凄い歌だね、と嘆息する相棒。
一指二指三指はわれの第三子靴紐締めて行きたり逝きぬ 安田幸子
「これ、どういうこと? 一指、二指、三指って・・・」
「う~ん、数え歌風に始めてるんだろうね。子供の頃、一かけ、
二かけて 三かけて~、四かけて、五かけて橋をかけ~、とか
唄っていた。ここでは、第三子を引き出すための序詞みたいなものだと思う。
三番目の子供さんは、靴紐締めて、つまり通勤服みたいなきちんと
した装いで家を出て、そのまま帰らなかった、ってことだよね。
交通事故かな、あるいは・・・。わからないけれど。
こんな風に歌にできるまで、かなり時間は経っている気がする」
「そうか~。なるほどねえ・・・・。」
と、しみじみしているらしい、相棒。ほうら、短歌ってけっこう
いいでしょ、と内心ほくそ笑む私。
それからしばらく、河野さん選の百葉集を読み合う。
「河野さんの選の方が、面白い気がする」
と、相棒が言い出した。
「吉川さんはお若いから、かな。感覚が違うのかも」
相棒は、河野裕子さんとはほぼ同じ年齢。一方、吉川さんとは親子くらいに
歳が離れている。
「時代もあるのかな。この頃の作風の方があなたには合ってる、とか」
「今の歌、わからんの多いからなあ。でも塔の会員が増えすぎて、
選ぶの大変になっている、ってことは、ない?
今は吉川さん一人で、毎月えらんでいるんだろ? こんなに分厚い中から!
過酷だよなあ~」
と、相棒はしばし嘆息しきりでした。
秋のお惣菜 [食文化]
このところ、どこにも行けず、外食も最低限に抑えている。
ということはつまり、おさんどんに追われている、ということだが。
当然ながら、同じような料理を繰り返し食卓に並べる、ということも増える。
何かしら新しい情報を仕入れて、マンネリ化している食卓にカツを
入れたいところだけれど。料理本や、料理番組を見ても、あまり参考に
ならないことが多い。相棒に好き嫌いが多いことが一番の理由だが。
先日、時間が中途半端に余ったので、Eテレの料理番組をぼんやり
見ていたのだが。我家でも利用できそうな料理が紹介されているのに
気がつき、慌ててメモを取り出した。その時は三種類くらいの
料理が登場していたのだが、私が興味を抱いたのは、鶏肉と茸、薩摩芋を
材料とした主菜である。早速一度作ってみた。まずはそのレシピ通りに。
鶏の腿肉200gは一口大に切り、ほぐしたしめじはお茶碗に一杯分くらい。
小ぶりの薩摩芋一本は1,5センチ幅位に切り、二分電子レンジにかけておく。
鶏肉は大匙一杯の塩麹をまぶして5分ほど置き、熱したフライパンに
油を引いてから、炒める。薩摩芋も一緒に炒めた後、カップ半分ほどの
水を加え、ふたをして七分ほど蒸し煮する。しめじを加え、オイスター
ソースを大匙半分加える。蓋を外して2,3分煮た後、下ろし際に
醤油大匙半分を加え、よく混ぜ合わせると出来上がり。
食べてみて、薩摩芋はこの料理には合わない、と感じた。
甘味があるし、それなりのヴォリュームもあるので、主菜には
向かないように思えるのだ。私はサツマイモをじゃが芋に替える
ことに。七分の蒸し煮時間内に柔らかくなるように、やや細めの
櫛型に切り、レンジにはかけないことにした。また、
色どりを考えて、ピーマンを一個、八等分にしたものを
加えることにした。蒸すときの水をほんの少しだけ多めにして、
最後に水溶き片栗粉を加えて、スープを閉じ込めることに。
我家流に手を加えて食卓にだすことにしたのです。
自分でもなかなか美味な一品に仕上がった、と思いました。
お試しくださいませ。なお、分量はおよそ二人前です。
ということはつまり、おさんどんに追われている、ということだが。
当然ながら、同じような料理を繰り返し食卓に並べる、ということも増える。
何かしら新しい情報を仕入れて、マンネリ化している食卓にカツを
入れたいところだけれど。料理本や、料理番組を見ても、あまり参考に
ならないことが多い。相棒に好き嫌いが多いことが一番の理由だが。
先日、時間が中途半端に余ったので、Eテレの料理番組をぼんやり
見ていたのだが。我家でも利用できそうな料理が紹介されているのに
気がつき、慌ててメモを取り出した。その時は三種類くらいの
料理が登場していたのだが、私が興味を抱いたのは、鶏肉と茸、薩摩芋を
材料とした主菜である。早速一度作ってみた。まずはそのレシピ通りに。
鶏の腿肉200gは一口大に切り、ほぐしたしめじはお茶碗に一杯分くらい。
小ぶりの薩摩芋一本は1,5センチ幅位に切り、二分電子レンジにかけておく。
鶏肉は大匙一杯の塩麹をまぶして5分ほど置き、熱したフライパンに
油を引いてから、炒める。薩摩芋も一緒に炒めた後、カップ半分ほどの
水を加え、ふたをして七分ほど蒸し煮する。しめじを加え、オイスター
ソースを大匙半分加える。蓋を外して2,3分煮た後、下ろし際に
醤油大匙半分を加え、よく混ぜ合わせると出来上がり。
食べてみて、薩摩芋はこの料理には合わない、と感じた。
甘味があるし、それなりのヴォリュームもあるので、主菜には
向かないように思えるのだ。私はサツマイモをじゃが芋に替える
ことに。七分の蒸し煮時間内に柔らかくなるように、やや細めの
櫛型に切り、レンジにはかけないことにした。また、
色どりを考えて、ピーマンを一個、八等分にしたものを
加えることにした。蒸すときの水をほんの少しだけ多めにして、
最後に水溶き片栗粉を加えて、スープを閉じ込めることに。
我家流に手を加えて食卓にだすことにしたのです。
自分でもなかなか美味な一品に仕上がった、と思いました。
お試しくださいませ。なお、分量はおよそ二人前です。