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折々の作家・宮沢賢治(その2) [文学]

宮沢賢治の作品で一番最初に読んだ童話も覚えている。
やはり、小学校三年生くらいの時で、『注文の多い料理店』。
母が少女雑誌をなかなか買ってくれないので、私は年中、
物語世界に飢えていた。それで手当たり次第に、読めそうなものを
漁っていて、この本に行き着いたのだと思うが。
それはたぶん、学習雑誌の付録みたいな、なにか簡易な本で、
近所のお姉さんが貸してくれたものだったように覚えている。

最初は「面白そう」と、読み始めたのだが、途中から
だんだん、つまらなくなって・・・。最後には何が何だが
わからなくなって、読み終わってしまった、みたいな。
子どもにはあまりピンとこないお話だった記憶がある。
「やっぱり、宮沢賢治なんて、好きになれないんだ」
とか、おもったような気もする。

もう一度読んでみようと、本棚に「宮沢賢治童話集」を
探してみたのだが、私が持っている角川文庫版(1969年刊)と
新潮文庫「宮沢賢治童話集(下)」には収録されていなかった。

賢治に対する印象が少し変わるきっかけになったのは、
中学入学直前に読んだ『よだかの星』だった。
私は当時も活字に飢えていて、春休みの間に国語の教科書に
載っている面白そうな小説の類を拾い読みしていたのだが。
『よだかの星』には、参った。なんだかとても悲しくて。
文章が透き通るように美しくて。何度も繰り返し読んだ。
賢治って、こんな本も書いていたのか、とちょっと驚いた。
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