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クマのプーさん(その2) [文学]

日本人にとってのクマのプーさんのイメージは、
ディズニーのアニメからの影響が大きいのではないか、
という印象がある。私自身も、最近プーさんのことを
思い描こうとすると、大好きなフィギュアスケートで
羽生結弦の演技終了後、リンクに大量に投げ込まれる、
プーさんのぬいぐるみを思い出してしまうのである。

このぬいぐるみ、まさにディズニーのアニメで描かれる、
プーさんそのものの色、形をしているから。

1920年代半ばに、A・Aミルンが最初の一冊、
「Winnie the Pooh」を刊行したとき、挿絵を担当したのは
E・Hシェパードだったが、本文中に配された絵はすべて、
モノクロの線画だった。彼がフルカラー版のプーさん
を手掛けたのは、ようやく1970年、亡くなる数年前に
なってからのこと。プーさんの毛は淡い黄色に染められ、
小さな赤いベストを着せられた。ディズニーのアニメ版では、
さらに鮮やかな黄色に彩られ、ベストの色も滑らかな光沢のある
赤に統一されるようになった。

でもプーさんは、作者ミルンの一人息子、クリストファー・ロビンに、
母親のダフネが買い与えたテディベア(J・Kファーネル社製)が
もとになって生まれているので、色彩は地味な灰褐色である。
プーさんにベストを着せたのは、挿絵担当のシェパードだが、
寒い季節の外出の時に着ているだけだった。
あの美しい黄色と赤は、初期のプーさんの本からは想像できない。

ディズニーの力は大きい。プーさんが好き、とは言いながら、
その本自体は読んでいない、と言う人も日本人には多そうな
気がする。(続く)
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