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映画 「ロープ」  [映画]

少し前にWOWOWで放映されていた映画を録画しておいたもの。
確か「戦場の生命線」とかいう副題(日本向け、だろう)がついていた。
制作はスペイン。舞台は1995年、停戦直後のバルカン半島である。

むらの生命線ともいえる井戸に、死体が投げ込まれ、生活用水が
汚染されている状況を、打開しようと五人の国際援助隊が
奮闘する。国籍も異なる五人は、井戸の死体をロープで括り、
ジャッキにつないで引き上げようとするが、何と途中で
ロープは切れてしまい・・・。彼らはロープを入手しようと
奔走するのだが、停戦直後の地域の荒廃が、彼らの行く手を阻む。

たった一本のロープも入手できない、ということは
つまり、戦争と言うものの悲惨さの比喩でもあるのだけれど。

彼らは地域の子供たちから疎んじられているらしい少年に出会い、
彼の救出を兼ねて、村の案内人役に引き立てることにする。
何しろ村の誰も話せない、英語を話すからだ(ちょっと違和があるが)。
さらに少年は救助隊に
「あれ(井戸への遺体投棄)は、水を売りたい人がやった謀略だ」
と指摘する。賢い少年なのだった。

彼は自分の家に犬がいること、その犬を繋いでいるロープを
使えばいい、という。救助隊は早速少年の家を目指すのだが・・。

そこからの展開が衝撃的だ。WOWOWの番組説明では
「コミカルに描いている」とあったが、もう、ブラックユーモアの
域を超えている。少年の両親は、敵対する民族同士の結婚だった
ため、戦時は地域から憎悪の眼で見られたらしい。家財は徹底的に
破壊され、壁一杯に呪いの言葉まで記されていた。そして・・・。

ここからは、ちょっと書けない。戦争の悲惨さに多寡など
ないと思うが、内戦はとりわけ悲惨なのでは、と想像する。
彼らはようやくロープを入手するのだが、それがどういう
ロープだったか、そのことが、この映画の、しずかな、だが
能弁な「反戦意志」を表しているように思った。
多くの人に見てもらいたい、と思える映画だった。

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