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クラシックを聴く(その6) [藝術]

クラシック音楽にまつわる短歌、また音楽そのものを
詠んだ作品もまた、少なからずある。曲名をそのまま出しては
歌にならない、という場合も多いようで、作品はさりげなく、
音楽の場面や、雰囲気を詠んでいることが多く、そうした歌を
読みながら、作者はどんな音楽を聴いているんだろう、と
想像するのも楽しい。

 めぐりなる山脈(やま)瀝青の香をもてりピアノの高音打ちてあらそふ
               葛原妙子『原牛』
 虚空より薔薇を摑みとらむ指揮悲しくぞも老いにけるらし
               葛原妙子『薔薇窓』
 なつかしき木の香の満つるチェロの中このしばらくを睡りに帰還る
               小池光『バルサの翼』
 母に繋がる刻かと思うフルートを聴きわけるどの風の中にも
               平井弘『顔をあげる』
 オルガンの残響ながき午後の部屋あなたに遠く時の降りつむ
               今野寿美
 それは北欧の木のこゑあかつきの空を染めゆくバスクラリネット
               永井陽子『樟の木のうた』

「クラシックを聴く」は、とりあえず終了します。
  


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