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悪のスクツ [言葉]

朝日新聞の土曜版には「街のB級言葉図鑑」というコラムが
連載されていて、毎回楽しみに読んでいる。
今週は「買入」で「ばいにゅうと読んでいた」という見出し。
漢字の熟語の読みを巡る話題だった。

漢字の熟語は基本的に音読み、ということは
たぶん特に教わらなくとも、自然に身についてくることのように
私には思える。覚えているのは、四年生くらいの時、教科書の
表紙の隅に印刷されていた「文部省検定済教科書」を
「もんぶしょうけんていざいきょうかしょ」と得意げに読んで
父に笑われたことである。当然「けんていずみ」と正されたのだが、
腑に落ちない気持ちがしたことを鮮明に覚えている。
ここでいきなり訓読みになるなんて、ずるいじゃないか、みたいな。

その後まもなく、湯桶読みと重箱読みについて教わることになるのだが、
重箱には全く違和を感じなかったこともよく覚えている。

おそらく、最初から知っている言葉なら、それが漢字熟語として
初めて見るものでも、すんなり読めてしまうのではないか、と思う。

「買入」も、「ばいにゅう」という言葉を知らないから、たぶん
「かいいれ」と、それとなくあたりをつけながら読んできたのだろう。

ところで我が相棒は「巣窟」を、いつも「すくつ」と発音する。
「あいつのところは、まるで悪のスクツだ」と言うので
「それ、『そうくつ』って読むんだよ」と正したことがある。
ところが
「そうくつ、なんて爽やかなもんじゃない。スクツって言わないと、
感じが出ない」とのたまう。(居直りか?)
言われてみると、「あくのそうくつ」より「悪のスクツ」のほうが、
なんとなく狭いところに汚いものがとぐろを巻いている感じがする。
それで家では「スクツ」と言うのが定番になってしまった。
外で使う時も言ってしまうかも、と、ちょっとドキドキする。

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