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絵本を読む・再び [藝術]

週に二度くらい、施設にいる母のもとへ行く。少々認知症があるが、
古い記憶はかなりしっかりしている母を見舞うためである。
大切なのは、短時間でもきちんと向き合って、話を聞くこと、と思う。

「明日は、お風呂の日だわ。いやだわ、お風呂」と母。
「あれ、お風呂、好きだったじゃない?」
「子供と入るのは楽しかったけど、もともとは好きじゃないの。
祖母に熱いお風呂に無理やり入れられて、大っ嫌いになったのよ」
え、そんなこと、あったのか、と思う。私は母とお風呂に入った
記憶はあまりないので、妹と入るのが楽しかったのだろう。

そんなことを思いながら帰りに図書館で見つけた絵本。
『おふろだいすき』。松岡享子作、林明子絵(福音館書店)。
この絵本は有名だから、何度かパラパラとめくった記憶はある。
今回は借りて、じっくり読むことにした。というのも、
お風呂が好きな子供って、いるのかな、と思ったから。
しかも、主人公は五歳くらいの男の子・・・。

彼は一人で、いや、おもちゃのアヒル・プッカと一緒に入る。
身体を洗っていると、湯船で遊んでいたプッカが
「お風呂の底に亀がいる」と慌てて告げる。

やがて、双子のペンギンがでてきて、アシカが出てきて、
カバが現れ、最後には鯨まで、出てくる、なんと
動物園みたいなお風呂なんだった・・。
これなら、お風呂が大好きになるはずだが・・・。

それぞれの動物の個性がうまく描き分けられていて、
彼らと男児とのやり取りが実に楽しくて・・・。
心の底まであったまる絵本だった・・・。
でも、最後に肩までお湯につかって、50数える、というところで、
「ああ、私もやらされたな」
と、ちょっと嫌な記憶が戻ってきた。私はよく父と入浴させられたが
私が数を端折ると、必ず、一に戻って数え直しさせられた(げんなり)。
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