SSブログ

山形銘菓・のし梅 [食文化]

三週間余り前、いつものように電子版の山形新聞を読んでいると、
山形の銘菓・のし梅についての記事が掲載されていた。のし梅の
老舗として有名な山形市の佐藤屋の会長、佐藤松兵衛氏と夫人の
淳子氏により『のし梅の歴史』という本が発行されたという内容。

アマゾンなどで調べてみたが、販売はされていないようで、
佐藤屋のHPを開き、問い合わせフォームに、自分は甘味文化について
興味があり、山形に以前住んでいたこともあり、のし梅には特別の
興味があることを記し、値段と送料を教えてほしい旨連絡したところ、
早速送って下さった。なんと、無料とのことだった。とても感激し、
私も早速近著『砂糖をめぐる旅』などをお送りしました。

山形で暮したことのある人なら、のし梅が山形を代表する銘菓である
ということに異存はないはず。でも、でも・・・。長い歴史をもつ
お菓子が、生き残っていくことの難しさが、それとなく伝わってくる
書だった。もちろん、著者もその周囲の方々も、老舗を守っていくことに
強い矜持を抱き、それだからこそ、このような書も生まれたのだが。

『のし梅の歴史』には、山形出身の歌人、齋藤茂吉の息子の
北杜夫が小説に取り上げている部分にも触れている。

 山形からくる客たちは大抵ケチで、名産ののし梅しかもって
 こなかった。のし梅はいつも楡病院にあふれ、桃子はのし梅の
 顔をみるのも嫌なくらい。
              北杜夫『楡家の人々』

のし梅はけっこう高級品なのに「ケチ」と言われ、さらに「顔を見るのも嫌」
とまで、貶められている。あんまり気の毒な話なのだけれど、私はちょっと
笑ってしまった。子供の頃は、のし梅というと、山形出身の母が頻繁に
贈答用に買っていて、「時々は、他のものも選んだらいいのに」と思って
いたことだった。母には自慢の郷土菓子だったらしいけれど。

のし梅についてあれこれと思い出を辿っていたら
食べたくなって、佐藤屋さんのHPから注文することに・・・。
昨日、届きました! しばらくぶりの味、ただただ懐かしいです。
nice!(0)  コメント(0)