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名古屋、だが(続) [旅]

名古屋、というと私にはやはり「産業の町」という印象。
NHKの連続ドラマで、今年は家康を取り上げられるとあって、
名古屋とあれば、じゃあ、徳川美術館でも、となるところかも。
でも私は、とりあえず、名古屋を産業の町と言う視点から、見ておこう、
と思った。たった一日の滞在でしかないとなると、
旅のテーマは絞った方が良い、と考えたから。

総会の翌日、私は先ず、旧東海道・鳴海宿沿いに発展した、有松絞の
町を訪ねることにした。名古屋駅から名鉄名古屋線に乗る。
名鉄を使うのは、たぶん四十年ぶりくらいじゃないかな。
休日というのに、電車はすかすか。急行も楽勝で座れる。
有松に行っても、観光客はさほどいないのでは、と言う予感もして。

はたして、有松で降りたのはほんの数人。
ほとんど人が歩いていない駅前を抜けて、旧東海道の方へ。
ところどころに、有松絞の暖簾を掲げた、呉服屋(?)か、
あるいはお土産屋のような店が見えるのだけれど。お客の出入りは
見かけられず。でも、旧街道沿いの、有松絞の中心ともなっている
有松・鳴海絞会館への道をたどっていると、ちらほらと人が
行き交い、板塀を巡らした旧家が並ぶ辺りでは、写真を撮る人たちも。

有松絞は、絞りの柄がとても多彩で、色彩も鮮やかなものが多い。
柳絞り、蜘蛛絞り、鹿の子絞りなどのほか、雪花絞り、三浦絞り、
など、またそれらを組み合わせたものもありで、その細かさと、
美しさに目を奪われる。絞会館の二階では、実演を見せてくれる人もいて。

でも、今の時代、こういう工芸的な伝統技術は、なかなか存続していくのは
難しいのかも、という気持ちが強くした。優れた一個人の芸術家が、
芸術品としてデザインし、作り上げていくしかないのでは、とも思う。
だが、その工程を担うのは、職人、ということになるだろう。
単なる「職人」の立場に耐えられる人が、これからどれだけ出てくるか。
そんなことを考えながら、絞りの町を後にした。

午後からは、また名鉄に乗り、今度はもう一度名古屋駅を通って、
その北にある「栄生」という駅近くにあるトヨタ産業博物館を
訪ねてみることにした。その訪問記は、次回へ。
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