SSブログ

つし、って何? [短歌]

昨夕、「塔1月号」が届いた。我家の地区は配達時間が遅く、
普段でも五時頃が多いが、月曜日はたぶん郵便物が多いからだろう、
六時を過ぎてから配達されることも多い。それで昨月曜日は、夕飯の
支度の真っ最中に郵便屋さんのバイクの音がし、通り過ぎて行った。

食事を終え、洗い物を済ませる。それからおもむろに届いた「塔」を
開くのだけれど。昨夜はその後、夜なべっぽい仕事、餃子作りをした。
その間、相棒がリビングでぱらぱらと「塔」を見ていた、本の数分ほどだが。

「ねえ、つし、って何?」と聞いてくる。「え、三重県の県庁所在地?」
「じゃないみたいだよ、平仮名で書いてあるし」
餃子作りを終えて「どこ、そのつしって?」と訊くと「塔」誌の前から
四分の一くらいのところに載っていた作品を指さす。

  タコを干す瀬戸の海沿ひ日は高くつしの白さが際立つ家並み
                     長谷部和子
「つし」にはわざわざ傍点が振ってあるので、誤植ではなさそうだ。
ネットで調べると、「農家などが天井や屋根の下に作るもの置き場」とある。
ああ、それなら、見たことはありそうな気がする。一種ベランダのようだが、
あれは物置部屋だったのか。それにしても「つし」とはどのあたりから来た
呼び名なんだろう。「玉虫厨子」の「厨子」(旧かなだったら、づしであるし)?

それにしても、我が相棒、意外なところから読むんだな、と少々おどろく。
今月の長谷部さんの作品は、あいうえお順の頁に載っていて、特に目立った
扱いを受けているわけではなく。私はつい、新樹集や百葉集、各選者が
佳作に選んでいる、あいうえお順の前後の作品から見ちゃうのだけれど。
短歌にはあまり興味がないようだから、何か目に付くとそこに集中するのか?

そして、ちょっとしみじみという。
「こういう全国から集まっている組織だと、各地に会員がいて、
地域ごとの文化を反映した作品を出してくるんだよね、面白いね」
「そう、調べながら読むことって多いよ。今はスマホがあるから簡単に
調べがつくし。以前は、こういう歌を作るの、冒険だったかも」
そう答えながら、歌を読む楽しみをあらためて思う。
今度、どこか地方を旅した時、屋根の下のつし、を探してみようと思う。
白く塗っている地方もあるのだろうか、記憶では皆目立たない色だった
ような印象をもっているのだけれど。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0