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機嫌のよい時、単車で [言葉]

昨年末、押入れを整理していたら、小学校一、二年の時の
作文のノートの束が出てきた。前にこのブログでも書いたことがあるが、
小学校一、二年の時の担任の先生がとても文章教育に熱心で、各児童の文章に
良く眼を通してくれる方だったので、私も調子に乗って、随分沢山書き、
それが一年に数冊分にもなった。先生はそれを閉じ合わせて、一冊の本の
ように仕立て、画用紙の表紙をつけ、名前も付けて保存するように、と
指導して下さった。その文集が二冊とも、出てきたのである。

その頃は先生が良く褒めてくれたので、私はかなり調子に乗っていた。
何しろ、文集の厚さは、クラスでダントツだったし。
で、あれれ、どんなこと書いていたんだろう、とまあ、ン十年ぶりに
開いてみたんだが・・。恥ずかしくなって、すぐに閉じましたデス。
なんとまあ、だらだらとヘタな文章を書き綴ったもんだ、と。

そして、いきなり、だが、「単車」という言葉を思い出した。
小学校一、二年の同級生に、名前は忘れてしまったが、よく欠席する
男子児童がいた。給食の日だけは必ず出てきていたが(当時私たちが
通った田舎の学校は、給食室が狭くて、給食の日は、学年ごとに決まっていて
週に二、三度しかなかった)。彼は家庭に、何か問題がありそうな子だった。
成績の方も思わしくなく、授業中に時折奇声を上げたりする。

ある日の作文の時間、先生はお題をだされた。
「なんでもいいけれど、家族について、あるいは家族と食べたもの、
出掛けた場所、遊んだことなどについて書きましょう」

自分で何を書いたか、全く覚えていないのだが、授業の終りに、
先生に指名された人が、自分の作文を読みあげることになった。
その時に、あまり授業には熱心でない、その男子が当たったのである。
私は、ちょっと驚いた、書いていないような気がしたから。
彼は、照れくさそうに立ち上がって、読み上げた。

「うちの父ちゃんは、いつもお酒をのんで、ごろごろしてます。
きげんがよいとき、たんしゃでしごとにいきます。」

凄く驚いたことを覚えている。これは、もしかしたら、すごく
いい文章なのではないか、と。短くて、完璧なのではないかと。
でも、それは一瞬だったのだろう。もし本気でそう思っていたら、
その後、私の文章はかなり変わっていたはずで・・・。



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