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岩城けい [文学]

岩城けい『Matt』(集英社)を読み始めたのは、全くの偶然。
図書館に行った時、入り口のそばにこちら向きに立てかけてあって、
何気なく手にとり、主人公が異文化に悩む、と言う内容らしい、と、
にわかに興味を惹かれて借りてきたのだった。それまで、
岩城けいなる作家をまるで知らなかった。
少し読み始めるとたちまち、のめりこむ様に読んでいた。
文章のテンポが抜群にいい。比喩もうまい。そして現代日本の
若者言葉も、うまく場を選んで散りばめてある・・・。

翌日の十月十三日、朝日新聞の「折々のことば」で鷲田清一氏が
岩城けいの小説からの一節を引いておられて、またまたの
偶然に驚く。氏が引用されていたのは次の一節。

  「それで、だれがあんたを見送ってくれるんだい」
   ・・・・/「お月さま、霧」/「そうかい。ひとりじゃ
  ないんだね。よかった」
               岩城けい『さようなら、オレンジ』

さらに翌日の十四日の「折々のことば」も、同じ著書からだった。

  「あなたは、違う。だから、いいいんだ」
           岩城けい『さようなら、オレンジ』

ちなみに私が借りた『Matt』は今月刊行されたばかり、『さようなら~』
の方は、2013年刊。作者はオーストリア在住25年、と知り、驚く。
英語圏で暮しながら、この日本語力!(この項、少し続けます)
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