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映画「寝ても覚めても」 [映画]

WOWOWで放映されていた映画を録画して観た。
18年日本制作のWOWOW初登場、監督は濱口竜介。
東出昌大が一人二役を演じて話題を呼んだ、とか。
ヒロイン役は、新人の唐田えりか。ちょっと期待して観た。

大阪で暮し、奔放な青年・麦と愛し合うようになる朝子。
だが、まもなく麦は姿を消す。東京に引っ越した朝子は
カフェで働くようになるが。近くのオフィスで働く青年、
亮平が麦にそっくりであることに驚き、やがて、亮平と
愛し合うようになる・・・。

この手のストーリーとなると、少々、展開が見えてくる。
そっくりさんは、顔は同じようでも、性格は違う。それも、
かなり異なる、という設定になる。見かけが同じだから、
と心を許し、近づいて行っても、それは別人。理屈では
分っていても、なかなか、感情的には切り替えができない。

モデルとして世に出るようになった麦が、朝子を迎えに来る、
というあたりから、展開が不自然になる。五年も放っておきながら、
いったいどういうことなのか。有名人になっているはずなのに、
いきなり朝子を「北海道に行こう」なんて、車で誘い出すなんて。

女の子には、麦のような奔放で華やかな性格にあこがれる、という
傾向は確かにある、と思える。思い切りの良さ、強い個性と、
自分だけにささげられる、ささやかだが確かな愛情との間で、
揺れる、ということはある。

でもこの映画の場合、朝子の心の揺れが十分に描けていない、
という気がした。北海道への逃避行の途中、急に亮平のもとへ
戻ろうとする、その契機も弱い気がする。ここでなら、一人に
されても、近くに知った人がいて、助けてくれる、そういう
打算が働いたのか(彼女は震災後の東北でボランティアをしていた)。
随分陳腐な展開に見えてしまう。

映画の最後の、亮平を演じる東出の表情は良かった。
帰ってきた朝子を最終的に受け入れながら、
「もう、二度と、君を信用することはない」と言い切る表情が。
それにしても「寝ても覚めても」って、題はナンなんだ、と思う。
もう少し、マシな題にしてよ、と突っ込みたくなる。


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