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好きなこと、好きであり続けること [言葉]

生物学者の福岡伸一氏の文章が好きで、朝日新聞朝刊に
週一度掲載される氏の文章は、できるだけ目を通している。
今朝は「少年のノート 私の言葉」。

周囲に馴染めない性格、と自覚するある少年を追った
テレビ番組の中で、少年が心に留め続けていた言葉が紹介された。
それが、福岡氏の著書の中の一節だったという。
 
 大切なのは何か一つ、好きなことがあること、
 そしてそれをずっと好きであり続けられることの旅程が
 驚くほど豊かで、君を一瞬たりともあきさせることがないということ。
 そしてそれは、静かに君を励まし続ける。最後の最後まで、
 励まし続ける。
         福岡伸一『ルリボシカミキリの青』

ああ、本当にその通りだ、と思う一方。そう単純じゃない、とも思う。
好きなものは、見つかることは見つかる。けっこう簡単に。
でも、好きであり続けることは、かなり難しいかも、
と思ってしまう。夢中でいられる時間は、多くの人にとって短いのでは。
人は必ず、好きなもの(好きな人、もそうだが)から、何かを得ようとする
からだ。
それは、好きであり続けるための、保険のようなものではあるが、
好きなもので生活していきたい、とか、さらには名を挙げたい、
人に評価されたい、とか思ってしまうようになるから。
好きになった時の純粋な感情が失われていき、やがては
その反動で、大嫌いになってしまったりする。

私もまた、好きなものと向き合い、経験を重ねるうちに、好きなものを
好きでい続けるには、どうしたらいいのか、考えることになってしまっていた。
そして自分に課したことは、

あまり夢中になりすぎないこと。ほどほどの距離を持つ事も大切。
妙な野心が出てきたら、他の分野にも興味を広げてみること。
自分のやっていることが、客観視できるようにすること。

そうすることが、良かったのかどうか、わからない。
結局、好きなもののために苦しんだ時間も長かったし、
これからも、同じことを繰り返しそうな気がする。

好き、もう、嫌だ、でもやっぱり・・・。
波のように近づいたり離れたりしながら、でもまだ、
その好きなやつのところをうろうろしている。
少なくとも、やめることより、難儀することの方を選択し続けて。
好きなやつとは、短歌、そして言葉を通じて行う、すべての表現、
のことであるのだが。
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