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再びの絵本・The color box [藝術]

カナダで出版された絵本だが、作者のアン・ドッズ、
イラスト担当のギルズ・ラロッシュ、ともに在米の人。
イラストといっても、こちらは切り絵をコラージュした
簡単な仕掛け絵本である。

くりくりとした目の、いかにも好奇心の強そうなサルが主人公。
おサルは、大きな箱をみつけ、中に入り込んでみると・・・
薄暗い箱の一角に穴があり、黄色の鮮やかな色が漏れているのを発見。
頁の一部が丸く切り取ってあり、次の頁が少し見えている、
という仕掛けになっているのだった。そして次を開くと、
一面、美しい黄色の世界。切り紙の蜂や、花に埋め尽くされ、
上部にはまあるい穴があいていて、太陽が輝く。
次の頁は、そのオレンジが照り返す、真夏の砂浜。
だが、一角には青い水が張っていて・・・。

という風に、頁の一部が切り取られていて、次の世界へと
誘っていく、という仕組みになっている。色彩と切り紙が
素晴らしく美しくて、どこかで出版してもらえたら、
と張り切って、翻訳してみたのだが・・・。

この本もうまくはいかなかった。編集の人たちが異口同音に
次のように指摘してきた。後頁の内容を暗示するその「窓」の部分が、
次の頁では生かされていない、と。なんとも意味のない
「開口部」になってしまっている、というのである。

それも確かにそうかもしれないが・・・。
全く違った世界で、前の世界の色彩や登場するアイテムを
利用しようとなると、これはかなりの難題である。
カナダの出版社はそこは目をつむったのだろう。

結局この本は、私だけの絵本になってしまったのだが。
切り紙の美しさ、造形の巧みさに惹かれて、時々開いては
楽しんでいる。


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