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クラシックを聴く(その5) [藝術]

クラシックって、みんなどんな風に聴いてるんだろう、
そんな疑問を感じてしまうこと自体が、そもそも音楽の
感性に欠けている証拠のようなもの、と思っていた私。

クラシックに惹かれていくきっかけはクラシックそのものではなく、
異なる分野の方からやってきた。面白いな、と今は思える。
九十年代初頭くらいまでは、ピアノ曲を聴くことが多かったのだが、
弦楽もいいな、と思えるようになったのは、ある映画がきっかけだった。
九十年代後半、私は一時、チェコ語を学んでいたことがある。
日本人と結婚していたチェコ人のDさんに個人授業を受けていた。

Dさんは、プラハの大学で日本語を学んだ人で、流暢な日本語を
操り、外国語学校の教師もしていた。その頃、映画「コーリア」が
アカデミー賞外国語賞を受賞、日本でも「コーリア 愛のプラハ」
という題で、ビデオ発売されることになった(当時はまだビデオが
主流だった)。Dさんはその字幕担当グループの一人になり、
その時に入手したテープを「まだ、字幕はついてないけど」
と、貸してくれたのだった。

私は彼女が作成した「日本語字幕案」のコピーを片手に、
この映画を観た。主人公はチェリストだったので、
映画全体に、様々な弦楽曲が流れ、これを聴けるだけでも
「お得」と感じられるような映画だったが。

映画の冒頭近く、困窮化した主人公がお金の算段のため、
墓守の友人を頼って墓場に行く場面があるのだが・・。
帰り道、枯れた木木の間を歩くわびしい場面で流れた曲が
耳に止まった。その曲は確か、私もCDを持っていたはず・・。
調べてみると、ドヴォルジャークの「アメリカ」の
第二楽章だった。CDだけで聞いていた時より、なんだが
ずっと心にしみた。映像が曲の印象を鮮明化してくれたからだろう。

「コーリア 愛のプラハ」のビデオは、発売されるとすぐに
購入して観た。だが、残念なことに、大好きなあのアメリカが
流れる場面は大幅にカットされていた。

でも、私はこの「コーリア」をきっかけに弦楽曲を
あれこれと聴くようになり、鑑賞の幅がぐんと広がったのだった。
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