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若白髪 [生活]

時々行く美容室。他の用事でその美容室の前を通ると、
土曜日だというのに、そしていつも週末は混雑している
店なのに、ガラス越しに見る限り、お客は二、三人。
ふらっと入ってしまった。

担当してくれた三十歳前後と思われる男性は、
やや寡黙で、あれこれ話しかけられるのは好きでない私は、
あ、ラッキー、と思ったのだけれど。
もうそろそろ、カットが終わる段階になって、
「失礼ですが、御年の割に白髪、少ないですよね」
と、言われた。まあ、前髪あたりは、かなりあり、
少しずつ、ヘアマニュキアをしている。が、年齢の割には
そうかもしれない。

「僕は小学生の頃から、白髪だったんです」
ええ!? と驚く。鏡越しに改めて彼の髪を見ると、
黒髪のところどころに、茶を配している。
「染めているんです。小学生の時は、鏡見ながら、
抜きまくっていました。ほんと、いけないんですけど」
明るそうに、笑うけれど、小学生から、それって・・・。

「ええ、ヒサンでしたよ。子供は残酷でしょう?
中学の頃には、もう目立ちまくってましたら、
かなりのイジメにあいました。高校生で黒く染め始めて、
やっと、人並みに・・」
そうだったのか。でも、そういう経験が、美容師になる
きっかけになったのかもな、と思った。

「でもね、禿げるより、ましでしょ?」
と言うと、おおきくうなずく。
「そりゃ、もう! 白髪って、結局髪の量が多いしるし
でもあるんです。そう気づいたら、返って、
嬉しくなってきて。そこまでには時間、かかりましたが」
これからも、頑張って! と心の中で
エールを送りながら、美容室を後にした。
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