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ひかりへ [短歌]

一昨日、母が亡くなった。101歳一か月。
あと、もって二、三週間です、と医師に告げられてから
二カ月半も、この世に留まり続けて、自らの誕生日を迎えてから
静かに息を引き取った。

この二、三日とても寒い。
雪国で暮していた頃のことが思い出されてしまう。
東京の空はか~んと晴れ渡っているけれど、この寒さに
息詰まるようにしんしんと雪を降らせていた、遠い日の
昏さが思い出される。

母のために、一首作って、柩に入れることにした。
母は喜んでくれるだろうか。

 記憶には昏く降りつぐ雪道の母よ ひかりへ歩みゆきませ
                     岡部史                  
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