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文章を書いてきて(その7) [文学]

みじかい雑文ならいくらでも書ける。でも、その域を
超えた文章を、となるとなかなか容易ではなかった。
当初は、何も考えずに書ける、と過信して書き始めては
行き詰まる、ということも多くあり。何度も頭を抱えた。

私に、それとなくノウハウを与えてくれたのは、ほかならぬ
相棒だった。彼も大学院時代にあれこれと試行錯誤しながら
身に着けてきていたものらしいのだが。面白いのは、折々の
お喋りのなかに登場する、箴言、のような、警句のようなもの。
曰く

 一晩で四十枚書けないやつは、一生四十枚書けない
 文章は寝ながら書く
 慣れれば最終の頁から最初へ、逆に書くことだってできる

などなど、である。彼は関西人だから、何かということが大仰で、
言葉のままは受け取れないところがあるのだが。

私が最も納得できたことは「寝ながら書く」という一点だった。
長い文章を書くときは、書く前に十分に考えなければならない。
文章全体の設計図のようなものを作り上げる必要があるのだ。
このことが本当に理解できるまで、結構時間がかかったのだけれど。

その設計図を組み立てるには、何もPCの前で呻吟する必要はない。
それよりも、身体を動かして何か別の作業中に並行してやる、
ということの方がはるかに効率的だし、良いアイディアも湧きやすい。

寝ながら書く、というのも、あるアイディアが見つかった場合、
その展開方法をあれこれ考え、そしていったんはそこから離れて
別のことをする、あるいは考える時間を置く。そしてしばらく
経ってから、なんとなくうつらうつらと覚醒しているかどうか
危うい淵にいるような時に、ふっと全体像を思い浮かべてみる、
そういうプロセスを経た方がいい、ということのようである。

文章を書くという場面では、まだまだ、試行錯誤は続いている。
でも、苦行だったことは過去、今は楽しい迷いの場になっている。
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