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ラインの黄金 [藝術]

英国ロイヤル・オペラ・ハウスの23~24年の
シネマシーズンが開幕。先日、「ラインの黄金」が上映されて
いたので、横浜の映画館へ観に行った。いわゆるライブビューイング。

幕は最初から上がっていて、舞台上には、大きなごつごつとした
張りぼて状の塊が置いてある。ラインの川岸をイメージしているらしいが。
音楽が流れだすと、年老いた女性が一糸まとわずに現れ、度肝を抜かれる。
女性はしずしずと右手から左手へと歩み、中央を少し過ぎたところで、
やはりゆっくりとだが、くるくると回転を始める。壇上にそうした
装置があり、そこに立っているだけらしいが・・・。

上映前にもらった解説によると、これは大地の女神エルダで、人間が
エゴの限りを尽くし、大地の恵みを奪い続けた結果、枯れ果ててしまった
地球を象徴している、ということらしいが。う~む、む、む。

ワグナーの「ニーベルングの指輪」は、社会の縮図のような作品で、
上演は時代ごとの問題を鋭く反映しながら企画されてきた、ということは
理解できるのだけれど。そして、今回のこのロイヤルハウス版も、
オペラのもつ、重厚な空間の再現、というより、現代劇的風に
演出し、先鋭的な解釈に基づく演出を行った、ということはわかるが。

この老女の姿がどうにも気になって、集中を欠いてしまったのは、
私だけだっただろうか。また、前半は、ストーリーの展開に起伏もなく、
やや退屈だった。後半、ラインの黄金と指輪をめぐって、アルベルヒと
ヴォータンが奪い合いを展開するあたりから、音楽にも迫力を感じ、
舞台に集中できるようになったのだけれど・・・。

オペラとは、現代において、どんな形で上演されるべきなのか、
そのことを鋭く考えさせる内容ではあったと思う。
メトロポリタンオペラだったら、どう演出するかなあ・・・。
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