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熊・2023 [生活]

連日、熊に関するニュースがメディアに登場している今年の秋。
例年にはない頻度で、熊が人間の生活圏に入り込んで来ているからのよう。
山形新聞電子版を読んでいても、出没のニュースは毎日のこと。時には
被害も報告されていて、普段の生活が脅かされている様子が伝わる。

理由は、今年の夏の異常な暑さでドングリなど山の実りが少ない、
海水温の上昇に伴って鮭などの川や海の食べ物が減っている、
熊の個体数が増えている、人間の活動圏が熊の生息地に食い込んでいる、
などなどが考えられるようだ。理由は一つに絞られるものではないだろう。

人間の生活を一番に考えるべきところなので、ある程度の駆除は
やむを得ないと思われる。昨日、熊の駆除に当たっている人が
ニュースに登場、「里に出てくる熊は、山にいる熊とは異なる生き物。
粛々と駆除し、自然からの贈り物として、余すところなく活用する」
と発言しておられた。熊に対するこの姿勢は評価したいところだ。
ただ、子熊を連れた母熊が頻繁に出没していて、彼らが痩せているところを
見ると、心が締め付けられそうになる。何とか、共存できないものか。
橡や栢など、ドングリの成る木を多く植えて、熊のえさが確保できるような、
そういった森づくりも、一つの対策にはなるのでは、と思われる。これは
一朝一夕にはいかないことだけれども。

熊の出没が伝えられている山形新聞だが、毎日一句ずつ掲載の「四季の杜」には
こんな俳句が紹介されているのが目に留まった。

  喰ひ急ぎたる熊棚か落ちさうに 中坪達哉

熊棚ということばを知らなかった私。添えられている解説には
「木登りの得意なツキノワグマは、樹の上で枝を折り、採食すると
その枝を自分の尻の下に敷き、座りを安定させながら、さらに別の
枝を折って採食、立ち去ると、樹上に鳥の巣状の『ざぶとん』が
できあがる」それを「熊棚」と呼ぶそうな。秋の季語だという。

採食の途中に何か起き、その木をあきらめ、慌てて去ったようだ、
熊棚が落ちそうになったままにしてある、と言う句。なるほど・・・。
俳句の語彙の豊かさは、そのまま、日本の自然の豊かさなのだった。
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