SSブログ

モネの睡蓮 [藝術]

九月第一日曜。八月はお休みだったので、二カ月ぶりの横浜歌会に出席。
今回は、フランスのオランジェリー美術館を訪れた時の歌を一首入れた。

  水あかりたどり地下へと降りゆけば揺れさんざめくモネの睡蓮

オランジェリーは良く知られているように、モネの睡蓮を展示するために
建設された美術館である。もちろん、マティスとか他に有名な絵もあるけれど、
さほど大きな美術館ではなく、展示に大きく割かれているのは、モネの睡蓮。

と聞いて、私は期待して出かけたのだったが。
入り口から入って、館内の絵を鑑賞しながら、モネの絵はどこだろう、
と思い続けることになった。フランス語は大学の二国でやったけれど、
もう覚えている単語すら少なく・・・。きっとどこかに表示があるんだろうが、
みつけられない・・・・・。

もしかしたら、どこかほかの美術館に貸し出されているのかな、と
思いそうになった。いや、この美術館の成り立ちを思うと、そういうことは
なさそう。そう思いつつ、あきらめかけて、出口の方へ向かった時。

ふっと、水明かり、のようなものを感じたのである。建物の中に、
水明かりが、入るはずがない、と言われればそれまでなんだけれど。

その水明かりを辿るように左折すると、地下への階段が開いていて、
そこへ何人かの人が降りていくのが見えた。私もその後ろについて降りていく。
すると大きな空間があり、空間を取り囲む壁全体に、モネの睡蓮が、
掛けめぐらされていたのである! 水連は、ようやく見つけた私に、
まるで「ようこそ、いらっしゃい」と挨拶するように、揺れているように
見えた。視界ほぼ360度を占める、モネの睡蓮! ほんとうにさんざめくように
私には見えたのである。

この感じは、写真やテレビの映像などでは分らないと思う。
絵とはもともと平面なのだし、写真はその平面性を強調する。
でも、実際に見ると違うのだ。水を渡る風と共に、睡蓮は呼吸している。

絵を詠むことは難しい。歌会での皆からの批判を聴きながら、
もう少し、詠みかたを考えようと思った。

ところで、オランジェリーとは、仏語でオレンジ、の意味。
この美術館はもと、チェイルリー宮殿にオレンジを供するために建てられた
温室だったそうです。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0