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アルプスの少女ハイジ [文学]

『アルプスの少女ハイジ』は、小学生の頃に読んだ記憶がある。
その頃は、女の子の名前に関心が高かったころで、この書の一番の記憶も、
「クララは可愛いけど、肝心の主人公の名は可愛くない」だった(苦笑)。
ストーリーも特に惹かれるところがなく。当時は山沿いの盆地に住んでいたので、
アルプスなんか、全くあこがれの対象でもなんでもなく。近くにいると
ありがたみって、薄いもんなんですよね。

アメリカで暮らし始めた三十余年前、まずは図書館で子供の本を
読み始めたのだが、ちょっと変わった題名の本だな、と手にとったのが
『Heidi 』。ヘイディ? ぱらぱらとめくってみて、これが
『アルプスの少女ハイジ』のことだった、と気付くまで少々間があった。
ハイジって、こう綴るんだったのか!? と驚いたのである。

舞台はスイスのドイツ語圏に属するデルフリ村、原書はドイツ語で書かれ、
私が手にしたのは、英語への翻訳版だった。ちなみに日本での初登場版は
英語からの重訳だったらしい。

2005年にイギリスで映画化された実写版の「アルプス・・」が、
先日テレビで放映されていたので、録画して観た。内容はほとんど
忘れていたので、新鮮な気持ちで見れた。ハイジが足の悪いクララの
世話をしていたのは、こういう事情からだったのか、と改めて気づいたりして。

そしてストーリーの流れが、先日見た「ザリガニの鳴くところ」と似ている、
と感じた。自然のなかに棲み、世捨て人のような暮らしをし、学校へ行かず
文字も読めない子供。あることをきっかけに、文字に触れるすばらしさを知り、
自分の住まいのある地の特殊性を生かして、生きていこうと決意する。

「ザリガニ・・・」とは異なり、「アルプス・・」の方の少女は、
「作家になりたい」と希望を公言することで、将来を暗示するにとどまるが。
はたから見て、大きな障害に見えることを逆転させて生きる、ということが
主題になっているように思われたのである。きちんと、「読みどころ」を
捉えていなかったんだ、と残念に思うと同時に。

子供の頃を振り返ると、主人公の名前が、もう少し愛らしかったら、
もっと気合入れて読んでいたかも、なんて考えたりしたのでした。
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