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料理の言葉 [言葉]

毎日、気ちがいじみた暑さである。私の住む多摩地方では
このところ、体温越えの日々が続き、すっかりバテ気味。
でも、何か食べなくちゃいけない。外食も暑すぎて億劫なので、
とりあえず、手抜き食を考える。酷暑が来る、と予報が出た日、
図書館から「手抜きご飯」と名打った本までかりてきてあった。
相棒に渡して、「食べたいの、ある?」と訊く。何しろ、酷い
偏食屋さんなんだから(ぶつぶつ)。

「あえもの、って何? あえる、ってどうすること?」
え? ちょっと焦る。料理法として知ってはいるが、どう言葉で説明すればいいか。
「茹でた野菜とか、煮た貝とかを、調味料と混ぜ合わせたりする料理だけど」
「混ぜること? 混ぜると和えるってどう違うの?」
「混ぜる、っていうと無造作にかき混ぜるような感じがするじゃない?
和えるっていえば、食べ物を対象にしていて、丁寧に味を染み込ませる、
って感じかな?」
答えていることに、自信はない。そんなこと一度も考えたことなかったし。
そう思っていると、質問は途切れなく続く。

「きんぴらってどんな料理?」
「きんぴら牛蒡が有名だけれど、ごま油で炒めて、醤油とみりんで
味付けする料理。うちじゃ、貴方が牛蒡も人参も食べないから、茸で
作ってる。食べたことあるでしょ」
「きんぴらって名前、何から来たの?」
何だか、子供を相手にしてるみたいだ。
慌てて、近くに転がしておいた『広辞苑』を引くことに。

「あ、坂田金時の息子の金平、からついた名前なんだって。
へ~、知らなかった。金平牛蒡には強精作用があると考えられ、怪力金平の
名が付けられた・・。ふ~っむ」

「ポン酢のぽん、ってなあに?」
「ポン酢は柑橘類を使った酢だから、ポンカンのぽん、じゃないのかな」
こちらも広辞苑を捲ってみる。
「あ、語源はオランダ語のポンス(pons)だって! お転婆とか、
ランドセルと一緒だったんだねえ~」

「竜田揚げって、どんな料理?」
「お魚とかお肉に醤油やみりんで味付けして、片栗粉まぶして
油で揚げた料理だよ(学生の頃、一度家で作ってみたことがある。
最近はあまり作っていないけど。料理を始めた頃の思い出がどっと
蘇ってきて、ちょっとウルウルしていると・・)」
「竜田って名前、どこからきているのかな?」
「あ、きっと竜田川だよ、あの名歌の
 このたびは幣もとりあえず竜田川もみじの錦神のまにまに・・・」
広辞苑で確認すると、まさにその通りでした。
色彩が赤いから、もみじの名所に例えた、ってあるけど、ちょっと大げさ?

料理本から、言葉をめぐる楽しい会話に発展したのでしたが。
はて、次の手抜き料理を何にするか、決まっておりませぬ。
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