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オペラ・魔笛 [藝術]

メトのライブビューイング「魔笛」を観てきました!
「魔笛」は、メトのビューイングで初めて観た演目で、2017年12月、
席の予約もせず、いきなり映画館へ出かけてしまったのでしたが、
なんと、ほぼ満席に近く、一列目しか空いていなかったのでした。

画面を見上げるような位置に、戸惑ったのでしたが、それでもたちまち
素晴らしい音と映像世界に没入してしまい・・・。以来、メトの
ビューイングは、全部とはいかないまでも、かなり見ているのです。

今回の魔笛は、先先週、メトの「ドン・ジョバンニ」を観た際、
予告が流れていたので、大体の傾向は分かっていたのでした。
つまり、音楽は素晴らしい。出演者たちは、役者としても堂々たる演技ぶりで。
そこは相変わらずのメトで、きっと、期待できる。でも、でも、
演出のほうはどうなんだろう・・・、一抹の危惧が。

案の定、演出には、かなり「?」が付きました。舞台装置は、
今時の環境配慮型? とでもいうべきでしょうか。
舞台上に登場する装置は、基本的に、大きな木製の台一枚のみ。
四隅にロープが取り付けられていて、上下、前後に稼働させながら、
板は、空になったり、洞窟の入り口になったり、舞台上の
舞台にまでなったり、時に幕代わりもして。

場面の展開を導くのは、舞台の袖に、まるで紙芝居屋さんのように
陣取った一人の男性。彼はボードに字や絵を書いたり、影絵の人形を
動かしたりして、その様子はそのまま、プロジェクターで、舞台の
奥の幕に大写しされる。つまり、舞台装置の代わりをしているのでした。

これは、かなりの省力化、経費の節約につながっているはずです。
これまでのメトでいえば、大掛かりの舞台装置を、係りの男性たちが
何人も、幕が下りるたびに、舞台裏で動かしていたのですから。

効果音の係の人も、舞台の袖に登場していました。ワインの空き瓶に
水を入れて、棒で叩いたり、蛇腹状の紙を揺らしたり、ポリ袋を
くしゃくしゃさせたりしながら、舞台の音を作っているさまが、
観客に見えるのは、それなりに面白かったけれども・・・。

魔笛の主役は、その名の通り、魔法の笛。これまでの演出だと、
王子のタミーノがこの魔法の笛を与えられ、ところどころで、吹く、
というか、吹くふりをすると、オーケストラのフルート担当の奏者が
その身ぶりに合わせて演奏する、というのが普通でした。

でも、今回の場合は、フルート奏者自身が舞台に登場して、
必要な場面ごとに、タミーノから笛を受け取って、吹く、という演出。
(そういえば、今回はオケ全体が、舞台上にあるような作りでした)

これは違うんじゃないの、と一番違和感をもったところ。
それに悲しいかな、タミーノを演じる男性、歌唱力は素晴らしいものの、
ルックスは、体型は・・・。一方のフルート奏者の、なんという美男子ぶり!

観終わって、エレベータに乗っていると、乗り合わせたどこぞのおばさまが
「フルート吹いていた人、すてきだったわねえ~」と
うっとりしながら、お連れの人に話しかけていた。mmm、こういう
ところがものすごく強い印象に残ってしまうのって、どうだろう?

メトはいろいろ挑戦している。その強い意志には感服するが。
オペラはひとときの夢の世界であってほしいんだよね・・・。
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