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初あめ [食文化]

山形新聞の電子版を読んでいたら、12月6日一面に、
「新年には初あめ 福の味」という見出しつきで、
大なべに麦芽水とグラニュー糖を混ぜ、
飴づくりに勤しむ製菓店の写真が掲載されていた。

私は山形県南西部で育ったが、こういう風習はなかったので
興味深く読んだ。年の初めに口にする「初あめ」という縁起物
文化は、山形県特有のものである、とも記事に書かれているが。

もう三十年近く前に、夕方のニュース番組の中で「飴よばれ」
という風習について報道されていたことを思い出した。確か
福島県の只見町あたりの風習で、冬季に女性たちが麦芽水飴を
手作りして、仲の良い女性たちと集まって、おしゃべりし合う、
といったものだった。雪深い町で、たぶん女正月、のような
のような習慣だったのではないだろうか。

それでもう一つ、秋田県に伝わる「飴市」についても思い出し、
ネットで調べてみると、こちらは大館市で行われる、旧正月の
行事だった。起源は四百年ほども遡り、天正年間に始まった、
というから凄い。正確には「アメッコ市」と称されて、ミズキの
枝に色とりどりの包装紙にくるまれた飴を飾ることでも有名らしい。

その写真を見て、子供の頃、旧正月の市の時に、数十センチほどに
切った木々の枝に色彩のついた麩のようなものを飾り付けて
売っていたことを思い出した。あれは麩ではなく、
小麦粉で作った薄焼きせんべいのようなものだったかもしれない。
友達の家に飾ってあるのを見た記憶があるが、我が家では一度も
購入したことがなく、実体は良く知らないのだが。

山形の初あめの記事から、飴にまつわる東北の文化が次々に
思い出される。寒い東北地方では、冬季の甘味は身体にとって、
いやそれ以上に心にとって、必要な栄養だったのだろうと思うのである。
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