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「漫画を描く」を描く [短歌]

先日「歌を詠む」を詠む、という内容の文章をこのブログに
書いたのだが、先日の朝日新聞夕刊(11月16日付)に、「漫画家
残酷物語」(永島慎二 1967年刊)についての記事を読んで驚いた。
永島慎二という漫画家の作品はほとんど読んだことがなかったので
知らなかった、ということもあるが、世に「漫画を描く」ことを
テーマにした漫画があったとは、初めて知った。

永島の「漫画家・・」は、「漫画なんか嫌いだ、食べるために仕方なく
描いているだけだ」と言っていた漫画家が連載を打ち切られたのを機に
自分の右腕に保険をかけ、わざとけがをする計画を立てる。最後に
長編を仕上げてから、と思い売るつもりもなく描き始めたら、楽しくて
保険解約を決意するが、その直後、不幸にも交通事故で右腕を失う・・・。
という内容なのだそうだ。

漫画家という仕事がいかに過酷か、ひとたび成功すれば、巨万の富が
舞い込むが、そうなれるのはほんの一握り。初老になっても独り立ち
できずに苦しんでいる、それでも漫画が好きで諦めきれない、という
ような話を、これまで沢山見聞きしてきてはいたが・・・。

そんな漫画をめぐる、社会的、経済的な状況が「『漫画を描く』を描く」
という分野を開拓させ、読者をひきつけるに至ったのだろうか。
「漫画家残酷物語」は、好きなものに引き付けられ、跳ねのけられ、
それでも離れられないという感情を自虐的に表現していて、そのあたり、
「短歌を詠む」を詠む時の姿勢とも多少の共通性があるように思える。

同時に、このジャンルの漫画が、漫画家を目指す人々にとっての
バイブルのようにも扱われているらしい状況を考えると、「短歌を詠む」
ことを詠んだ歌、が体系的にまとめられ、一つのジャンルのように確立して
読まれるようなものが登場したら面白いかも、と思ったことだった。
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