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映画・羊の木 [映画]

お正月、WOWOWで録画しておいた映画の一本。
ヒューマンサスペンスという分野にくくられる作品のようだが。
原作は、山上たつひこのコミックスらしい。
北陸の魚深という町に、仮釈放された受刑者が住居と仕事付きで
受け入れられることになる。極秘の国家プロジェクトとして。
なんと六人も、そして彼らは全員殺人犯なのだった!
あり得ない、あり得ない、と思いながら見始める。

若い男性市職員の月末が担当者となり、六人を一人ずつ、迎えに行く。
若い男二人と若い女、中年の男と女、初老の男・・・。
それぞれ、立場も違うし、同じ殺人とはいえ、その罪の程度も
かなり異なる。でも、殺人犯だったことには違いなく・・・。

六人も一度に受容されたから、それぞれの立場の違い、というのが
わかり、ひとくくりにはできない、とはわかるのだけれど。

その分、展開が散漫で、サスペンスとしての緊迫感が薄れてしまっていた。
「ヒューマン」という部分より、サスペンスに重きを置いた方が良かった
のではないか、と私は思う。
つまり、元受刑者は松田龍平を中心に、二人か、せめて三人に絞り、
小さな町での人々とのふれあいと葛藤とを丁寧に描くべき
だったのではないか、と思われた。

「羊の木」は題名としては魅力的な感じがするが、なぜ
なのか、今ひとつわかりにくい。元受刑者の一人の女が、
槌の中から掘り出した絵皿のようなものに描かれていた絵が、
「羊の実っている木」で、彼女はそれを大切そうに部屋に飾っているのだが。

羊のなる木というと、マルコポーロが『東方見聞録』のなかで、
初めて綿の木を目にし「まるで羊のなる木」と驚いた、という
エピソードを思い出してしまう。当時西洋に綿がなかったからで、
私はこの本を読んで、こんな歌を作ったこともある。

 むくつけきマルコ・ポーロが「東洋の羊の成る木」と畏みて記す
           岡部史『コットン・ドリーム』

でも、もちろん、これとは全く関係ないみたいだ。
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