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いとみち [映画]

日本映画「いとみち」(2021年封切)、何の情報もないまま
録画していたので見たのだが。冒頭、青森県弘前市の高校の
授業風景から始まる。教師が生徒に順番にプリントを読ませている。
(ヘタな授業運びじゃ、と突っ込みたくなるが)、主人公らしい少女
が読み始めると、教室内でかすかな失笑が起きる。訛りが強くて、
私にもとんと理解できず、私は瞬間的にこの少女は、朝鮮半島から
移住してきているのでは、と思ったくらいだった。少し後で、
これが全くの勘違いで、少女はとりわけ津軽訛が強かっただけ、と
分るのだけれど。

津軽弁には、韓国語とのかなりの共通点があるような気がする。
特に抑揚が似ているような気がするのだ。冒頭からそうだったように、
この主人公の少女、いとの話す言葉が、ほとんど理解できない。
字幕が欲しい、と思うくらいに。子供の頃に東北(新潟県上越地方の
訛の方が強い山形県南西部だが)で育っている私ですらそうなのだから、
他の地域の人たちにはほとんど理解不能なのではないのだろうか。

でもそんなことはお構いなしに映画は進む。そして主人公のこころの
なかをのぞき込むように映画を観続けていると、何を話しているのか
少しずつだが、理解できるようになっていく。不思議だが、自分でも
ちょっと感動的、と思えることである。

圧巻は津軽三味線の演奏の場面。特に結末近くに、祖母のハツヱと
いとが合奏する場面は圧巻だった。主人公を演じているのは津軽出身の
駒井蓮だが、祖母を演じているのは、津軽三味線の第一人者、
高橋竹山の一番弟子と言われた、西川洋子だから、当然といえば
当然のことではあったが。

映画を観終わると、三味線の演奏をもっともっと聞きたかった、という
喪失感に襲われた。ずっと以前、学生の頃に映画館で観た「津軽
じょんがら節」をまた見てみたい、とも思った。
題名となった「いとみち」は、少女いとの進む道、という
意味かと思っていたが、これは三味線を弾いていると、爪に
できる糸状の溝のことであるという。この種の弦楽器は、
指にとって過酷だからなあ・・・。津軽に思いがある人、三味線の
音が好きな方には必見の映画です。
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