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水切り [スポーツ]

水切りは、スポーツというほどの行為ではなさそうだが。

小学校四年生くらいのときだったと思う。
どこかの水辺で(それがどこだったか、誰と一緒だったか
まったく記憶にないのである)、一緒にいた男の子のひとりが
水切りを始めた。水面を石がまるで軽いステップを踏むように
飛んで行くさまが魔法のようで、目が点になったことを覚えている。

それで真似してみようとしたのだが、私の石は軽く円を
描いただけで、ぽちゃんと、すぐ近くの水底に沈んだ。
見ていた、少し年上の男の子(誰だったのか、思い出せない)が
近づいてきて、「水切りはね、まず石を選ぶことが大事なんだ」
と教えてくれた。

近くで小石を捜してきて、「ほら、こういう平たくて、
ある程度面積のある石だよ。」と拾ってきた石を見せてくれ、
さらに、利き手の側に身体を傾ける。「水面に平行に」
と、言いながら石を投げて見せてくれたのだった。
彼の投げた石は、水面を数回跳びながら、向こう岸近くで
姿を消した。「ほらね、やってごらん」。

教えられたとおりにやってみると、私の石は二、三回
水面を飛んでから沈んだ。繰り返し練習すると、
たちまち、数回は跳ぶようになり・・・。周りの子たちが、
「おおっ」と声を上げて驚いてくれるほどうまくなった。

水切りをする機会がなくなって、もう何年にもなる。
  
 水切りの石の平たさ覚えゐるてのひら今日も些事こなすのみ
                岡部史『海の琥珀』

水切りという遊びは、どこの国にもあるのかな、と思い、
英語でなんて言うのかしらべてみることにした。
「duck and drake」というらしい。duckは、普通は「鴨」
という意味だけれど、狭義では「雌鴨」のことである。
「man」が、普通は人間を意味し、狭義では「男性」となるのと、
逆、ということになるだろうか。drake の方が「雄鴨」の意。

英語世界では水切りは、雌雄の鴨が水面にいる様子を
連想させるものなのだろうか。水面で羽をばたつかせるが
飛ぶことはない、みたいな・・・・。
これはこれでなかなか興味深い。
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