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折々の作家・R・マキャモン [文学]

ロバート・マキャモンという作家の小説を始めて手に
したのは、1996年4月のことである。当時の「読書ノート」が
たまたま残っていたので、詳しい日付がわかる。そして最初に
読んだのは『はるか南へ』だった。「『少年時代』が入手できず、
これから読み始める」とのメモ書きもついているので、どうやら
新聞か雑誌の書評でマキャモンの『少年時代』の評判を知り、
興味を持った、ということみたいだ。

この小説ですっかりマキャモンファンになった私は、続いて
『アッシャー家の弔鐘』を手にしている。こちらは『はるか‥』とは
かなり異なる、いわゆるオカルトっぽい恐怖小説で、驚いた。
そしてマキャモンはもともと、S・キングに次ぐ、恐怖小説家として
出発したことを知ったのである。だが、こちらも結構楽しめた。
特にお話の舞台が、私も住んでいたことのあるノース・カロライナ州
だったことが、可笑しかった。この地は、なるほど、吸血鬼も
出てきそう、と多くの人(特に他州の人)を納得させそうな土地だったから。

私はその後もせっせとマキャモン作品を探し回り、入手できるものから
読んでいったが、全部で10冊にも満たない。あまり多作な作家では
ないようである。でも、やはり日本でも評判を呼んだ『少年時代』、
『マイン』『魔女は夜ささやく』などは、文章も緻密で、傑作である。

恐怖小説から脱しながら、恐怖小説的不気味さと不条理とを
たとえ自然描写の場面でさえも、色濃くにじませながら表現して
いる点が、私などが一番魅力に思われる点なのだが・・・。

願わくはもう少し作品を多く発表してほしいところ。
日本で未翻訳の作品もあるらしいので、その翻訳を待ち望んで
いる。一つの文章が長々しくて、原文で読むのはいかにも
しんどそうな作家であるし。

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