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フジコ・ヘミング [藝術]

フジコ・ヘミングというピアニストは、コンサートの広告とか
テレビのちょっとした番組で目や耳にしたことがあるだけだった。
先月末、WOWOWで、彼女の生活を追ったドキュメンタリー、
『フジコ・ヘミングの時間』と、コンサートのライブ
「フジコ・ヘミング ソロコンサート いと小さきもののために」
が、放映されると知り、録画しておいた。

何しろ、六十代後半になってから世に出て、以後の二十年余り、
日本のみならず、世界各地でコンサート活動をしている、という。
なんだか、怪物のような(失礼だが、外見もものすごく、
ユニークというか、人間離れしている印象がある)お方。
いったい、どういう人で、どんな演奏をされるのだろうと、
興味津々だったのである。

二日ほど前、まず、ソロコンサートのライブから鑑賞した。
日本で行われたチャリティーコンサートで、演奏されたのは、
ショパン、リスト、ドビュッシーらのピアノ曲である。

ピアノの前に置かれた、大きなグラブのような分厚い手。
その太い指が鍵盤を這い出すと、大きく厳かにしてつややかな、
かつふくよかな音があふれ出してきて、驚かされた。
私は何度も書いているように、耳があまりよくないのだが、
そんな私でも、音の世界にふっくりと包み込まれるような、
幸せな感覚に酔いしれてしまっていた。(続きます)

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