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絵に夢中(その7) [藝術]

アトリエAに入会手続きをしたのが六月中旬。
このアトリエでは、市立図書館のなかにある
市民ギャラリーへの出展が八月上旬からの二週間、と
決まっていて、みんな最後の仕上げに励んでいるときだった。

私はアトリエでは、静物デッサンから始め、その一方で、
家で好きなものを描き、持って行っては先生の批評を
仰いでいた。家で描いていたのは、猫とか犬、
ペットを愛する人たちがペットと共に映っている写真を
雑誌などから探して、絵にしていた。また、今は亡き
我が愛犬の写真も取り出して、絵にしたり。

七月の最終日には、市民ギャラリーへの作品の運び込みについて、
予定の確認なども行われた。
自分には関係ないと思っていたのだけれど・・。

八月になると突然、先生が
「ねえ、この大きさに入る、なんかない?」
と、A5判くらいの額縁を差し出してきたのである。
「ええっ、なんか、ってナンですか!?」
「絵、よね」
先生は、お茶目にウインクしたりしている。
「まだ、こちらにお邪魔して一か月とちょっとですよ。
そんな、人様にお見せするような絵はありません」
と、きっぱりと断ったのだったが・・・。
「いいじゃない、沢山描いているじゃない。その中の一つ」
と言い張られて、とうとう、私まで出展することに。

若い着物姿の女性が黒い猫を抱いている絵を選ぶと、
先生が着物の陰翳、猫の輪郭などに手を加えてくれた。
図書館には、展示中に一度見に行ったけれど、
奥まったガラスケースの一番後ろに、ひっそりと置かれていて、
ほとんどの人が素通りする場所だったので、ほっとする。

あとは仲間の絵をじっくりと鑑賞することに。
絵には本当に個性が出て、観るほどに面白い。
大きな絵を描いて、展示室の壁に掲げてもらう、なんてことは
ないかもしれないが、好きなことにどっぷりと浸っている、
今の時間を楽しみたい(この項、終わりです)。
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