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西部劇だが [映画]

BSプレミアムは、週末を除き、毎日午後一時から映画を
放映しているが、金曜日は西部劇であることが多い。他の曜日の
映画はほとんど見ているのに、金曜日の映画だけは見ていない、という
ことが多い私。西部劇というと、何か一つの型に嵌められている、そんな
印象が強くて、これまであまり積極的に見てこなかったからである。

「他に見たい映画ないし」と、消極的選択で録画したのが「西部無法伝」
題からして、何とも、型通りで鑑賞意欲がいよいよ減退しそうなのだが。

冒頭の原題を見て、「なんだ?」と大きな疑問が湧く。「Skin Game」とは。
見始めてから、「あれま?」と驚き、次第に引き込まれていった。
黒人のジェイソンは、白人のクインシーに奴隷として所有されている。
南北戦争直前、クインシーは南部や中西部の町を回り、競り市にジェイソンを
売りに出す。勤勉で健康な奴隷で、自分も売りたくはないが、と大げさな
芝居をした後、高値を付けた客に売り払い、その後、ジェイソンは買主から
こっそりと逃げ出す。二人はその後も合流し、同じ詐欺を繰り返すのだ。

制作年を見ると、1971年で、なるほど、西部劇が劇的に変わり始めた頃の
作品である。いや、この映画は確かに西部を舞台にはしているが、かつての
「西部劇」とは全く異なるもの、と言えるのではないだろうか。

二人の掛け合いが面白い。肌の色は異なるが、二人の間に上下関係はない。
ただ、人目があるところでは、絶えず「奴隷と主」という演技を続ける。

そんな詐欺の二人に、さらに上をいく女詐欺が加わる。西部にも奴隷制に
反対する人たちが増え始め、二人の詐欺活動はそろそろ、無理な段階に
入ってきている。特にジェイソンは自分がモノのように売買される立場に
不満を募らせるようになってきて・・・。

筋はコミカルに小気味よく進み、それでいながら、心理的は、ずっと
シリアスな流れを保って、映画は展開する。そのバランスの良さが
この映画のもっとも賞賛すべきところだろう。

昨夜、久しぶりに「風と共に去りぬ」のDVDを、少しだけ観た。
黒人はこんな風に描かれていたんだな、とちょっと衝撃的だった。
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