宮沢賢治(その5) [文学]
一番好きな宮沢賢治の作品は? と訊かれると「虔十公園林」や
「雪渡り」と応えていたのは二十代から三十代の始めの頃。
その後、賢治の童話集を何度か読みなおし、やっぱりいいなあ、
と改めて思いなおしたのが「銀河鉄道の夜」と「セロ弾きのゴーシュ」。
この二編は、学生時代に目を通していたはずなのに、なぜか
あまり惹かれなかったことを覚えている。「銀河・・」の方は、
なんとなくよくわからなかったから。「セロ・・」は、
かっこよくないお話だなあ、とか思ったり。童話は翻訳物ばかり
読んでいて、日本の風土的なものが出てくるだけで、拒否反応を
起こしていた私。賢治のこの二編は、風土感はとても薄いのだが。
この二編が好きになっていった、その過程には、文学というものとの
向き合い方が変わってきたことによることが大きいと今は思っている。
どちらもストーリー性は薄い。でも、細部がとてもよく練られている。
「銀河・・」の方の、まるで長編詩のような透明感のある言葉選び。
その言葉によって、じわじわと未知の世界へ誘導されていくような不思議な感覚。
「セロ・・」の方は、ゴーシュを訪れる動物たちの動きや言葉、
その生き生きとした描写力が素晴らしい。物語を楽しむとは、単に筋を
追うことではない。その一語一語を楽しむことこそ最も大きな収穫なのだ、
ということを私は賢治から教わった。
「雪渡り」と応えていたのは二十代から三十代の始めの頃。
その後、賢治の童話集を何度か読みなおし、やっぱりいいなあ、
と改めて思いなおしたのが「銀河鉄道の夜」と「セロ弾きのゴーシュ」。
この二編は、学生時代に目を通していたはずなのに、なぜか
あまり惹かれなかったことを覚えている。「銀河・・」の方は、
なんとなくよくわからなかったから。「セロ・・」は、
かっこよくないお話だなあ、とか思ったり。童話は翻訳物ばかり
読んでいて、日本の風土的なものが出てくるだけで、拒否反応を
起こしていた私。賢治のこの二編は、風土感はとても薄いのだが。
この二編が好きになっていった、その過程には、文学というものとの
向き合い方が変わってきたことによることが大きいと今は思っている。
どちらもストーリー性は薄い。でも、細部がとてもよく練られている。
「銀河・・」の方の、まるで長編詩のような透明感のある言葉選び。
その言葉によって、じわじわと未知の世界へ誘導されていくような不思議な感覚。
「セロ・・」の方は、ゴーシュを訪れる動物たちの動きや言葉、
その生き生きとした描写力が素晴らしい。物語を楽しむとは、単に筋を
追うことではない。その一語一語を楽しむことこそ最も大きな収穫なのだ、
ということを私は賢治から教わった。
2019-12-19 08:27
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